あおり運転の厳罰化を盛り込んだ改正道交法が施行された。

 あおり運転を「妨害運転」と規定し、他の車の通行を妨げる目的での逆走や急ブレーキ、車間距離不保持など10行為を対象とした。

 罰則は飲酒運転と同程度となる。最高で5年以下の懲役または100万円以下の罰金、免許は即取り消しで再取得できない欠格期間は最大3年だ。

 相手にけがをさせたり、死亡させたりした場合には、危険運転の適用範囲を拡大した改正自動車運転処罰法の対象となり、あす2日に施行される。

 あおり運転に対する社会の目は厳しい。契機となったのは、2017年6月、神奈川県の東名高速で、無理やり停止させられた車の夫婦がトラックの追突で死亡した事故だった。

 警察による取り締まりとともにドライバーの意識向上も求められる。ルールとマナーを守り、相手を思いやる運転を心掛けたい。

 あおり運転をそそのかした同乗者らも同じ罰則や処分を受ける。悲惨な事故を招きかねない妨害運転を一掃するよう、社会全体で取り組みたい。

 ただ、重い処分を伴うだけに、恣意(しい)的な運用があってはならないのは当然だ。

 あおり運転の立件には「通行を妨害する意思」の証明が不可欠とされる。たまたま前車に接近したような場合まで摘発されることは避けねばならない。

 ドライブレコーダーや防犯カメラ映像など客観的な証拠収集が重要となる。関係者の供述と合わせた裏付け捜査も強化するべきだ。

 改正される道交法は、先月25日で公布60年を迎えた。

 これまでも時代とともに変化する課題を克服するよう、改正を重ねてきた。今回期待されているのは、かつての飲酒運転の厳罰化と同様の抑止効果だろう。

 飲酒運転の厳罰化は、幼児3人が死亡した福岡市での事故をきっかけに機運が高まった。飲酒死亡事故は00年の1276件から19年は176件と大幅に減少した。

 だが罰則強化だけの効果ではあるまい。運転免許の更新時などさまざまな機会をとらえて周知を図り、国民を巻き込んだ事故撲滅への地道な取り組みが欠かせない。

 自転車のあおり運転も「危険行為」と規定される。

 道交法で自転車は「軽車両」とされ、その危険性に厳しい目が注がれるようになった。利用者の注意を促したい。