ワイドショーでも日々、タレントの浮気や不倫問題が繰り返し報道されています。

「夫婦のことは夫婦にしかわからないけどー」そう前置きをしてコメンテーターが語っているのをうなずきながら聞いているそこのアナタ、所詮、対岸の火事と思っていませんか…?



夫と結婚して4年。かわいい娘にも恵まれ、お腹には第二子。

他人から見たら幸せな家庭…に見えるものの、駆け出しのテレビのアシスタントディレクターだった夫は多忙で不在が多く、喧嘩が絶えない超不仲夫婦。



さびしさを感じながらも「平穏な家庭」を夢見てガマンしていたところ、浮気の気配!

あれこれカマをかけてみたところ、あっさり告白、クロ確定!

自白させたはいいけれど、浮気相手の女性は家も娘の顔も知っていて…。

怒りや不安で落ち着かない日々、助産師さんからは「体がお産の準備が整っていませんよ、何かありました?」と聞かれるほどにカラダはガチガチに。



このまま夫と生きてけるはずもなくー。

別居? 離婚? 子どもの気持ちは…?

まるでドラマのような修羅場と、妻の本音を描いて大反響を呼んだ実録コミックエッセイ『カマかけたらクロでした』。



離婚調停で親権まで取ったものの、離婚という選択に間違いはないのか…。

浮気した夫と、心がズタズタに引き裂かれた妻。そんな夫婦に再生の道はあるのか?

著者、うえみ あゆみさんがリアルに体験したからこそ語れる、夫の浮気に直面したその時妻は!









子どものためにも、夫の浮気を描く事で強制的に思考し続けました



――ご本人にとっては思い出したくない出来事ですよね? 夫の浮気や夫婦のことをコミックエッセイとして描く、ましてや本として出版するというのは勇気がいるように感じるのですが。

「未熟な母親の私が考えて足掻いて答えを探す責任から逃げないように、本を描く事で強制的に思考し続けました。

子どもがいなければ本にしようとは思わなかったと思います。少なくとも子どもたちに将来『なるほどね。ママ、頑張ったじゃん。』と言ってもらえる程度のことは残したい、と思いました。



子どもたちが大人になって、もしも何かに苦しんでいる時に『カマクロ』を読む機会があったら、こんなふうにいまシロクロはっきり判断しなくてもいいんだ、グレーの時間だって人生にあっていいんだ。3年後、今の怒りや苦しみの熱量はなくなっているから大丈夫、ということを知っておいてほしいな、と思います。



そうはいっても、こういう裏切りには感情は大きく揺れますから、もちろん離婚も1つの選択肢。私が体験した中で有利に働く情報は、バンバン利用して欲しいと思い、『浮気チェックリスト』や『カマかけの心得』など、男性が見たらゾッとするようなコラムも惜しみなく付け足しました」







つらい出来事を描くことで答えを出そう



――「新婚の時から不仲」だったとあるのですが、結婚を決めたきっかけや結婚前のお二人について聞かせてください。

「夫は私の話をニコニコ聞いてくれて、私の知らないことをよく知っている優しい人でした。なので、恋愛時代は私の方が“恋愛の蛇口が全開”という感じで、ゾッコンだったんです。



結婚したいと思ったきっかけは、夫の不思議な存在感です。私は当時CMプランナーをしていたのですが、周りに人がいると気になって集中できないタイプでした。でも、ある日夫が1〜2時間も私の真後ろで仕事をしていたことに全く気づかなかったんです。構えない存在感は初めてでしたね。



仕事は毎日が他人との競争で、勝つか負けるかだったので、構えないでいられる存在は大事でした。浮気癖については…私と付き合っていた時はなかったと思いたいです」





カマかけをしてクロだとわかったその瞬間



――物知りで優しい旦那さんだと思って結婚したわけですが、カマをかけて浮気が「クロ」とわかった時の気持ちといったら…。

「かなりの準備をして自白させたので、その瞬間の気分は、嘘をつき通す犯人の裏を取って自供に追い込んだ刑事のような達成感と勝負に勝った高揚感がありました。

そして、その後しばらくたってから、どばーーーっと涙がこぼれました。体の中にこんなに水分があるのかと思うほど出たのを覚えています。

変なうなり声みたいなものが自然に出て、『人間って動物みたいな声も出せるんだ』と、頭のどこか冷静な部分で感じていたのを覚えています」









――“カマかけ”や段取りについて詳細に作品でてきますが、すべてご自分だけで考えたのでしょうか?

「性根のところでは性格悪い人間ですから(笑)、すべて自分で考えました。最大のポイントは、仕掛けたその日に自白に追い込むこと。夫が彼女と連絡を取る前に、仕事は一気に仕上げていかなくてはなりませんでした。なので、夫の心を自白へと一気に動かす最終的な演出が必要だと思いました。



私は、『探偵から浮気の証拠レポートは上がって来るけど、そんなの他人から聞くなんて悲しすぎる。…だから、最後のお願い…あなたの口から聞かせて』という逃げ口を用意しておきました。目的は自白ですから、ケンカしたり責めることではありません。



そのために、追い詰める時の声の張りや厳しい言葉使い、反対に、逃げ口に誘導する時の優しい表情やセリフを使い分けました。アカデミー賞でも取れるんじゃないか?というくらいの勢いで演じましたね」







「同じ憎しみの感情を抱き続けることができなかった」の本音







――誰にも言えず1人で奮闘していた時、一番大変だったことがあれば教えてください。

「苦労したのは、ムスメに笑顔でいることでした。保育園に行っている間に、離婚のことを調べたり相談に行ったりして、悔しい思いをして泣いたり、悲しくて無気力になったり。でも、保育園が終わったムスメには笑顔の、いつもの生活を…という切り替えが、とても大変でした。



逆に、うれしかったこともあります。助産師さんが泣きながら私に『幸せになってほしいです』と言ってくれたことですね。この言葉を言っていただいて、本当に満たされました。思い出すと今でも泣きそうになります。

それまで私は必死で、自分の心と体がすり切れてカサカサになっていたことに気付きませんでした。親にも言われたことのなかった言葉で、誰かにそう願ってもらえるってとても幸せなんだなと思いました。」





――「同じ憎しみの感情を抱き続けることはできなかった」と描かれています。根底には、ご主人への愛があるから、ということなのでしょうか?

「『それって愛なんだよ』『結局、旦那さんのこと、好きなんじゃない?』など、よく言われますね。

愛していれば、憎まないのか、憎しみが続かなければ、根底に愛があるのか。夫婦って簡単じゃないですね…。









頭がおかしくなるんじゃないかというほどの怒りがあっても、必ず元に戻ります



―― 一連の出来事を経て、ご自身の考え方に変化のようなものはあったのでしょうか?

「経験しないとわからないことってあります。

経験したからこそ、相手の話がわかるようになったり、心情を理解できるようになったり。



そういう意味で私は、信頼していたパートナーに裏切られた人、浮気をされた人、子育てを頑張っている人を理解し、会話することができていると思います。悲しさとか、怒りとかをひととおり経験することで、世界が広がったと思います」



――著書の終盤では、前を向く過程が描かれています。一番気になっているのが、現在のお2人の関係です。

「『カマクロ』の10年後の姿を『マタしてもクロでした』(WEB雑誌「マンガ on ウェブ」連載中)で描いています。

実は『カマクロ』以降も夫はたびたび浮気を繰り返し、そのつど大ゲンカ。

安定した家庭を維持したくて夫の浮気を不問にしてきたところ、最悪な展開が待っていました。

10年ぶりに夫と闘う決意をしました」



――続編『マタクロ』気になります!夫の浮気問題で悩んでいる方に向けて、うえみさんからぜひメッセージをお願いします。

「辛い時に判断を急ぐ必要は全くありません。誰かの前で泣いたり、話したり、ひたすら寝たり、そういうことに時間を使ってください。いまは頭がおかしくなるんじゃないかというほどの怒りがあっても、必ず元に戻ります。

また、経済的な理由で離婚を回避するケースも多いと思いますが、それはとても勇気のある、賢明な判断だと私は思います」



――現在、「神波アユミ」という名前で『ろくぶんのいち〜ぼくたちの格差』(講談社)といういう物語も描いていらっしゃいますね。

「無料塾で勉強して貧しさから抜け出そうと奮闘する『子どもの貧困』をテーマにした群像劇です。この作品を書いてますます、日本で離婚がいかに困難になっているのかがわかりました。シングルマザーの貧困率にぜひ関心を寄せてください。現在の日本で離婚は、経済的に余裕のある人だけが成功する特権行為になりつつあります。

この物語を描くことで、私はもしかしたら、いま悩んでいる方に悩む材料を増やしてしまうかもしれません。ですが、同じ問題で苦しみ、子どもを育てるいちお母さんとして、考慮するべき要素が一段と深刻になっていることを知っておいてほしいなと思っています」





誰よりも信頼すべきパートナーの裏切り行為。

発覚したその時、あなただったらその時どう受け止め、どう考え、どう行動しますか…?

うえみさんの戦いの記録、ぜひご覧ください!





取材・文=岡田知子(BLOOM)(レタスクラブニュース)