長い休校期間が終了し、学校生活が始まったお子さんのいる家庭も多いのではないでしょうか。でも、そんな子どもたちが学校再開に憂鬱な気分を感じているとしたら?



「10代から身につけたい ギリギリな自分を助ける方法」は、学校に行くことのつらさ、家にいることの苦しさ、自分自身についての悩み…さまざまな「生きづらさ」を解決するヒントを集めた一冊。中学生・高校生から大人まで読んでほしい、精神科医が教える“頼る”ことからはじめるセルフケアを6回連載でご紹介します。今回は第5回です。





【悩み4】気分が落ち込みやすい

たとえばこんなことが…



1 起こった(できごと)

仲のよい友だちとも一緒に過ごすのがおっくう、部活がおもしろくなくなってきた、成績が下がった。



2 感じた(感情・感覚・思考)

何をしても楽しくない、面倒くさい、集中できない、疲れやすい。



3 どうなった(変化したこと)

学校に行くのがつらい。好きだった部活動もいやになった。







落ち込みが長く続くときは体調チェックをしてみる

好きだったことや楽しんできたことが、楽しいと思えなくなる。



とくにトラブルがあったわけではないのに、友だちと一緒に出かけたり遊んだりすることが面倒になる。



これまで普通にできていたのに、なぜか勉強に集中できなくなる。



こんな風に、これまでできていたことや前向きに楽しめていたことができなくなると、自分でも驚きます。「なぜできないんだろう」「これまでどおりにやらなければ」などとひとりで考えるうちに、「自分は何もできないダメな人間だ」なんてところまで自分を追いつめてしまうこともあるでしょう。



でもこういった気分の変化や落ち込みは、思春期にはよく見られることです。1〜2週間で気分が元に戻るようなら、深く考えなくて大丈夫です。



でもそれ以上続く場合は、体調のチェックをしてみるとよいかもしれません。



熱が出ると、体がだるくなりますよね?



それと同じで、体のどこかに不調があると、心にも影響を及ぼすことがあります。体と心のことは分けて考えてしまいがちですが、実はちゃんとつながっているんです。



脳を含む体の疲れが心に影響を及ぼすことも

勉強や人間関係など、「これまでできていたことができなくなった」と感じる場合、健康の問題が原因となっていることも考えられます。体の不調は、自覚症状がはっきり現れるものばかりではないので、体調チェックをしておくのは有効だと思います。



まずは、かかりつけの小児科や内科を受診しましょう。とくに体調の悪さを感じていなくても、貧血などが隠れていることもあります。



体のチェックをしてとくに問題がないようなら、心の健康チェックをしてみてもよいと思います。「心の健康」なんて言われると、「え? なんかいやだな……」という気分になるかもしれません。



でも、これまでの自分とくらべて今の自分に違和感があるようなときは、体のどこかが疲れていることが原因になっている場合が少なくありません。そして、体にはもちろん脳も含まれます。



体の一部である脳が疲れてしまうと、心の健康に影響が出ることがあります。つまり心のバランスが乱れるのは、あなたの人間性ではなく、「脳を含む体」が疲れ、調子をくずしていることが原因である場合が多いんです。



健康診断のつもりで心の健康チェックを

心の健康チェックは、中高生であれば、子ども〜思春期を専門に診察する「児童精神科」で受けることが多くなります。近くに児童精神科がない場合は、心療内科や精神科を受診しましょう。できれば事前に連絡し、中高生でも診察を受けることができるかどうか確認しておくと確実です。「児童精神科」の表示がなくても、中高生の診察経験が豊富な精神科医は少なくありません。



どこを受診するべきか迷ったときは、各都道府県にある「精神保健福祉センター」のサイトなどで情報を集めてみてもよいと思います。



心の不調に関しては、「こんなことで病院に行っていいの?」という迷いがあるかもしれません。でも、自分で「なんだかおかしいな」と感じることがあるのなら受診してみましょう。



「少しがまんしていれば楽になる」「だれにだって悩みはあるんだから」などと、つらさをがまんし続けないでください。自分の心の健康状態(=脳の疲れの状態)を自分で正しく診断することができる人は、まずいないんです。



一般的な健康診断は、「健康かどうかを確認するため」に受けるもの。深刻な不調を感じていないからといって「病気じゃないかもしれないのに、受けていいのかな?」などと迷う人はいませんよね?



心の健康チェックも、これと同じ。受診する側は、「心の健康状態を確認するため」に病院に行くんです。あなたの脳の疲れぐあいを確認するのは、医師など専門家の仕事です。受診には抵抗を感じることもあるかもしれませんが、つらいときには「体の一部である脳の健康診断」をするつもりで、医師に相談してみてください。



著=井上祐紀(レタスクラブニュース)