読んだ本の内容は覚えられなくてもいい? 「読書」のお悩み相談に、年間300冊以上の書評を書くライターが答えます(前編)

読んだ本の内容は覚えられなくてもいい? 「読書」のお悩み相談に、年間300冊以上の書評を書くライターが答えます(前編)

ライフハッカー[日本版]の書評を執筆し、今年5月に『読んでも読んでも忘れてしまう人のための読書術』(星海社)を上梓した作家・書評家の印南敦史氏が、皆様から募集した「読書の悩み」についてお答えします。後編はこちら。

相談(1):読書の内容を忘れてしまう

ビジネス書をよく読みますが、内容を日常生活までブレイクダウンして役に立たせることができません。読んでいる間はフンフンと内容も理解していますし、時には感銘を受けて涙を流すことすらあります。ところが、読み終わったとたんに、「新しいアイデアに感銘を受けたから、明日からどういうふうに生かしていこう」と考えたはずの内容を、忘れてしまうのです。これを防ぎ、ビジネス書の内容を実生活までつなげるようにするためには、どのような読み方をしたら良いのでしょうか?

僕の新刊『読んでも読んでも忘れてしまう人のための読書術』の帯には、次のように書かれています。

本は99%、忘れていい!

大切なのは、「1%のかけら」を残すこと。

これは僕の持論で、読書についての考え方を集約したものでもあります。

1冊の本を読み、その内容をほとんど忘れてしまったとしたら(僕も、そんなことはしょっちゅうあります)、それが、その本に対する自分なりの結果です。覚えられなかったということは、記憶させるだけの“キャッチーななにか”がその本のなかになかったということ。だからそこに執着するよりも、「忘れてしまった」というファクトを受け入れるべきなのです。

そして重要なのは、これとは逆のケースです。本当に自分にとって必要なことであったとしたら、「覚えよう」と意識するより前に覚えてしまうはず。たとえば、「99%は忘れちゃったけど、この1%が強烈に記憶に残ったんだよね」ということがあったとしたら、その1%こそが、自分にとってのその本の結果だということです。

いわば、覚えられないことは、少なくとも自分にとっては「必要のないこと」。だから覚えられないわけなのですから、それを気にする必要はないのです。無駄なことを覚えようとするよりも大切なのは、自分にとっての「1%のかけら」を残すこと。それができれば、その1%は120%の価値を持ちうる場合もありうるわけです。

このことについてのトピックを、『読んでも読んでも忘れてしまう人のための読書術』から引用しておきます。

つまり、自分の価値観に見合った1%を見つけ出そうという意識を持つことが重要で、それができるようになれば、かけらを探し出す作業をコントロールできるようになるということ。(中略)そして、それはさらなる相乗効果を生み出すことにもなっていくでしょう。効率が高まって多くの1%をかき集めることができるようになれば、やがてそれは自分なりの100%、自分なりの200%となっていくということです。(『読んでも読んでも忘れてしまう人のための読書術』より)

相談(2):読むのに時間がかかる

文字に集中できず、内容が理解できなくて読み終えるのに時間がかかる時がある。

『遅読家のための読書術』でも明かしているとおり、実は僕もかなりの“遅読家”です。どのくらい遅いのか、翻訳もののビジネス書を読んで測ってみたことがあるのですが、1ページを読むのに5分くらいかかりました。それどころか、ぼーっとしながら読んでいたら、10分近く過ぎていた、なんてことも。

理由はとても簡単で、つまりは内容がなかなか理解できないから。だから何度も読み返してしまい、でも、だからといって理解できるわけでもなく、同じことを繰り返してしまうわけです。

でも、そんなことを繰り返してきた結果、ひとつの結論にたどり着くこともできました。それは、「読むのが遅くて当然。理解できなくて当然。覚えられなくて当然」だということ。逆にいえば、「読めない、理解できない、覚えられない」と自分を追い込んでしまうからつらくなるのです。

もちろん世の中には、圧倒的な速さで読み、完璧にその内容を記憶できるような人だっていないわけではないでしょう。しかし、そういう人はあくまで例外。圧倒的多数の人は、「なかなか理解できず」「時間がかかる」ものなのです。それが普通なのです。

そしてなにより大切なのは、そんな自分の読書スキルを認め、そして楽しんでしまうこと。理解できなくて時間がかかったって、別にいいじゃないですか。誰に迷惑をかけるわけでもないのですから。むしろ、そうした感情に惑わされる、自分のペースで読書を楽しんでしまえば、そこから道は開いていくはずです。

相談(3):本を最後まで読めない

本を最後まで読めない。読めないから買わなくなる。買わなくなるから読めないもやもやがある。本を半分ほど読んだところで、いつもやめてしまいます。読むのが楽しいと思うし、自分のためになるとは思うのですが、どうしても読み切ることができず、だんだんと読書から離れてしまいました。本を読み続けるためにはどうしたらいいでしょうか。

まず意識していただきたいのは、本を最後まで読めないということは「誰にでもある」という事実です。その証拠に、僕だってそんなことはしょっちゅうあります。

ただ、「読めない本」がある一方、「不思議と読めてしまう本」もありませんか? おそらく誰にでも、そういう本の1冊や2冊はあるはずです。つまり、そこに答えがあります。「読めない」のではなく「相性が悪い」ということ。

本といってもいろいろですから、「しっくりくるもの」と「読みづらい」ものがあるはず。でも後者については、どうやっても読めないものだと割り切ったほうがいいと僕は思っています。なぜって、読めないものは読めないのですから。それは自分の能力の問題というよりは、やはり「相性」なのです。

「しっくりこない」から読めないというだけの話なので、いつまでもそこにいたのでは時間の無駄。おっしゃるとおり、そんなスパイラルの渦中にいたら、どんどん本から遠ざかっていくことになるでしょう。

だから焦らず、まずは「読める」ものを読むようにしてみてはいかがでしょうか? そうすればきっと、読むことが苦しくなくなり、モヤモヤは消えるはずです。

そして重要なのは、少しでも「相性がよくないな」と感じた本からは、一度距離を置いてみること。いつまでもそこにしがみついていたのでは、前に進めないからです。

離れてみた結果、その本の魅力があとからわかってくることもあります。逆に、なにも気持ちが変わらない場合は、やはりその本とは相性が悪いということです。だから、そういう場合は、敢えてその本を切り捨ててください。もったいないと思うでしょうが、その本にかかったお金(価格)に執着するあまり他の本を読む時間が削られていくのだとしたら、それこそ時間の無駄です。

相談(4):読む時間を取れない

読む時間が取れない。

これも、よくあるお悩みです。たしかに毎日忙しいですし、落ち着いて読む時間は限られていますよね。

ただ、ちょっと考えなおしてみていただきたいのです。

通勤途中の電車のなか、無意識のうちにスマホを眺めていませんか? 昼休み、デスクで無目的にネットサーフィンしたりしていませんか? 夕食を終えてリラックスしている時間、別に見たいわけでもないのに、テレビのバラエティ番組を見たりしていませんか?

実は僕もそういうことがよくあるのですが、つまり、無駄にしている時間は意外にあるものなのです。だとすれば、そうした細切れの時間を利用してみてはいかがでしょうか?

「だからって、本を読むほどの時間的余裕なんかないよ」という声が聞こえてきそうです。でも、そのことについては、以前『世界一やさしい読書習慣定着メソッド』(大和書房)という本に書いたことが役立つかもしれません。

ここで僕が強調しているのは、1日24時間のうちのどこかに、「本を読む時間」を設定すること。しかも1日1時間とか2時間とか、実現できそうのない理想を掲げるのではなく、毎日10〜20分だけ“確実に”読書時間を取ることを勧めているのです。

10分読書のチャンスが6回あれば、結果的に1時間、

15分読書のチャンスが4回あれば、結果的に1時間、

20分読書のチャンスが3回あれば、結果的に1時間です。

(『世界一やさしい読書週間定着メソッド』より)

このように時間を活用して「細切れ読書」を組み合わせていけば、読む時間は確実に確保でき、そして読書を習慣化できるということです。

── 後編では「本を読み続ける『習慣」』を身につけるには?」などの質問に回答!

>>印南敦史さんの書評連載はこちら

Image: ESB Professional/shutterstock


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