障害を抱えた主人公が独り立ちする姿を描き、世界で注目を集める映画『37セカンズ』。女優に初挑戦した佳山明(かやまめい)さん、俳優・大東駿介、アメリカを拠点に活躍するHIKARI監督が大阪市内で語った。

『第69回ベルリン国際映画祭』で、パノラマ観客賞と国際アートシネマ連盟(CICAE)賞の2冠という快挙を達成した同作。オーディションで100人のなかから主人公ユマとして選ばれたのは、脳性麻痺である佳山明さん。現在、社会福祉関連の仕事に従事する24歳の一般女性だ。

その彼女が演じるのは、生まれた際に37秒息ができなかったことで障害を抱え、親の庇護から抜け出すためにも、アダルト漫画の作画に挑戦する難役。彼女を選んだ理由についてHIKARI監督は、「出会ったときに鳥肌が立った。すごくピュアで、(演技も)何もやったことがないことに、新鮮さを感じた。だからこそ、計算がない演技ができ、そのままの彼女を映像のなかに活かしたいなと思った」と語る。

佳山さんは、「面白いときを過ごさせていただきました」とゆっくり丁寧に語り、「初めてのなかで分からないことだらけのスタートでしたけれども、監督を筆頭にいろんな思いがあり、みなさんにたくさんたくさん支えていただきました」と撮影を振り返った。

その彼女のヘルパーである俊哉役を演じる大東駿介は、「毎日感慨深い現場でした。明ちゃんを抱きかかえて、本当に汗でビショビショになっていく。芝居的には、霧吹きで汗を吹き付けたりとかあったりするんですけれども、いかに本当の状態を残せるかということを意識していました」と、演技について説明した。

HIKARI監督から求められる要望は高く、「『体が俊哉になれていない。人生を背負った体をしていないから』と言われ、ものすごいダメージ。33歳で、怒られることはあってもそんなことを言われることもなく、鼻が曲がるくらいのパンチでした」と、大東は笑いながらも、役者として一歩成長したことを明かした。

監督の情熱は俳優に注がれただけではなく、カメラワークにも活かされたそうで、「主人公は車イス。実際に障害者という人たちを壁を隔てて見たり、上から目線で見ちゃう人もいたり・・・そういう意味もあって、最初は第三者敵な位置にカメラの目線があるんですよね。それがちょっとずつ、気がついたら彼女に寄り添っている」と説明し、主人公が感じていること、考えていることを観客も体験できることを目指したという。同映画は、現在公開中。