新型コロナウイルスの感染拡大防止のため繁華街への外出を控え、自分の住む街の飲食店を利用する機会が増えた人も多いのでは。そんななか、大阪・阿倍野エリアで独自におこなわれてきた『BUY LOCAL(バイローカル)』運動に、改めて注目が集まっている。

阿倍野・昭和町エリアの住民に、量販店だけでなく、近隣の小規模な地元のお店を積極的に使ってもらうことで暮らす人の生活の質を高め、地域の価値を向上しようというこの取り組み。これまで地域のイベントの企画やホステルの運営など、街おこしの事業をおこなってきた「サルトコラボレイティヴ」代表・加藤寛之さんを含む地域の有志数名で、2013年スタートした。

「当時は天王寺駅の再開発で大型商業施設の開業が相次ぎ、とても危機感を抱いていました。多くの人が便利なものに集まり、地域の商店が利用されなくなるからです」と話すのは、ともに活動をしてきた妻の加藤麻理子さん。

そこで2人が注目したのが、1998年にアメリカ・コロラド州で始まったバイローカルの運動だったという。「アメリカでも郊外ではウォールマートなどの商業施設に住民が集まってしまう現象が起きており、住民主体のバイローカル運動が始まりました。その事例を面白いと思い、自分たちのエリアでも取り組みたいと思って」と振りかえる。

まずはWEBサイトを立ち上げ、マーケットを開催して地下鉄昭和町〜西田辺駅周辺エリアを紹介。「大量生産されたものより、作り手や売り手との距離が近く安心できる品物を」という、近年広まり始めている価値観にもフィットする地元ならではの良さもアピールした。

そんな阿倍野エリアのお店も、新型コロナの影響を大いに受けており、加藤さんの運営するベーカリーレストラン「ザ・マーケット」でも、店内利用のお客が激減。それでもテイクアウトの需要が伸びて、売り上げは保たれているという。現在バイローカルのサイトでは、休業中のお店やテイクアウトのできるお店をまとめて掲載。外出自粛中も住民に役立つ情報を変わらず発信しており、再び注目が集まっている。

遠出のしづらい今だからこそ、これまでは知らなかった近隣の良いお店との出会いが暮らしを豊かにしてくれるかもしれない。この状況をきっかけに、同様の取り組みが各地で広まっていくことを期待したい。