江戸時代後期の浮世絵師・歌川広重と、昭和時代に活躍した放浪の画家・山下清。この2人が、それぞれの代表作「東海道五十三次」で、7月4日から競演。会場は東海道が通る「佐川美術館」(滋賀県守山市)だ。

歌川広重(1797〜1858)は江戸の定火消の家に生まれ、13歳で家督を相続したが、その後歌川豊広に入門して浮世絵師になった。1832年に京都を旅し、そのときのスケッチをもとに描いた『東海道五十三次』で人気絵師の地位を確立する。

その後も富士山や各地の風光明媚な景勝地を描いた作品で人気を博し、フランスの印象派など西洋の画家たちにも大きな影響を与えた。本展では名作『東海道五十三次』などの風景画を中心に、花鳥画、戯画、肉筆画などで広重の浮世絵ワールドを堪能できる。

一方、山下清(1922〜1971)は10代から貼り絵で才能を開花。18歳の頃から放浪の旅を繰り返すようになり、旅から戻ると記憶をもとに旅先の風景を描くようになった。彼は驚異的な映像記憶力の持ち主で、旅の間はほとんど絵を描かず、自分が見た風物を脳裏に鮮明に焼き付けて再現することができた。

『東海道五十三次』は晩年の作で、大作を作りたいという思いから始めたもの。本展では全55作品を展示するとともに、作品に添えられた山下のコメントも紹介。彼独特の朴訥とした世界が楽しめる。期間は、8月30日まで、料金は一般1000円。

文/小吹隆文(美術ライター)