京都市内の商家、古民家、寺社、公共施設などを舞台に開催される「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2020」が、9月19日に開幕した。8回目となる今年のテーマは「VISION」。

ビジョンとは、理想像、未来像、展望、見通しなどを意味する言葉だが、同展では国内外の気鋭写真家たちがそれぞれのビジョンを発している。新型コロナ禍をはじめとする諸問題により、これまでの価値観や社会システムが揺らいでいる今、タイムリーな企画と言えるだろう。

作品のテーマは、個人の境遇や歩み、社会問題、歴史などさまざま。作風も多岐にわたるので、事前に公式サイトで会場、作家、作品をチェックして出かけてほしい。筆者のおすすめは「伊藤佑 町家のマリアン・ティーウェン」。市内中心部の京町家2軒分の内部を取り壊し、廃材を使って再構築したインスタレーションは圧巻だ。また同様の写真作品も見られる。

エレガントな作品が好きな方には、京都府庁旧本館のピエール=エリィ・ド・ピブラックをおすすめする。パリ・オペラ座バレエ団に密着した作品と、京都府庁旧本館(明治時代に建てられた洋館建築)のマッチングは完璧だ。

メインプログラムの会場は約10カ所に点在しているが、効率よく動けば一1日で全部を見られる。無理をせず何度かに分けて出かけるのも良いだろう。チケットは、全会場に入れるパスポート(大人4000円ほか)と、会場ごとの単館チケット(大人800〜1200円ほか)がある。無料会場もあるので、まずはそこから出かけて、あとは各
自の都合でチョイスするのが合理的かもしれない。写真芸術の魅力にたっぷり浸れる「KYOTOGRAPHIE」。秋の京都散策も兼ねて出かけてほしい。期間は10月18日まで。

取材・写真/小吹隆文(美術ライター)