「煮ればいいじゃん」って思うでしょ? 意外と大変な海水の淡水化

「煮ればいいじゃん」って思うでしょ? 意外と大変な海水の淡水化

SciShowはHank Green(ハンク・グリーン)たちがサイエンスに関する話題をわかりやすく解説するYouTubeチャンネルです。
日本は世界でも稀に見る「水資源」に恵まれた国です。一時的な水不足などはしばしばありますが、人々の飲水が根本的に不足してしまうことは殆どありません。それは、我が国が世界でも有数の降水量を誇っているからです。ですが世界では、雨不足による深刻な干ばつに悩まされている地域もあります。アメリカ合衆国のカリフォルニア州もその1つです。この状態が続くと生態系に深刻な影響が出る可能性もあるため、カリフォルニアでは海水を淡水化するプラントが稼動しています。一見夢の技術のように見える海水の淡水化。しかし、現実には課題が山積しています。YouTubeのサイエンス系動画チャンネル「SciShow」。今回は、海水の淡水化に関する技術と課題を解説します。

海水を真水にもどすテクノロジーたち

マイケル・アランダ氏:最近、カリフォルニア州での水の問題を耳にしたことがあるかもしれません。とくにこの5年です。

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カリフォルニアでは深刻な干ばつに見舞われており、この状態が続くと生態系、貴重な真水の水源、州の多くの穀物に永久的ダメージを与えることになります。

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1,350キロメートルもの太平洋に面した海岸線を持つ州が、水不足に陥るなんて、とみなさん思われることでしょう。

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たしかに海水には多くの塩分が含まれています。しかし、(せっかくのリソースを)そのまま放置しておくのもよくないでしょう。なぜなら、海水から塩を取り除き、飲み水にする淡水化プロセスが存在するからです。

世界各地では、すでに大規模なスケールで淡水化が使用されているところがあります。研究者や住民たちは、「脱塩」と呼ばれるものが、カリフォルニアの干ばつに役立つのではないかと考えています。

それでは、現在の淡水化がどのような仕組みになっているのかを見てみましょう。世界には、海水から真水を抽出する5つの方法があります。しかし世界の淡水化の80パーセント以上が、これらのうち2つの方法でのみ精製されています。

それは逆浸透膜と多段フラッシュ法(MSF)というものです。逆浸透膜は、圧力を使って塩やその他のミネラル、微生物を取り除きます。

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細孔がある透過性の膜から、大きすぎる粒子などはろ過され、水の分子は押し出されます。

その膜を通過することで、使用できる真水となるのです。残存する塩分と、その他の廃物を含む水からさらに真水を抽出することはとても高価なので、それらは別のプラントに送られます。

塩分が飽和状態にある水は濃縮水、または塩水として知られています。多段フラッシュ法では、海水を一連の区切りの間で何度も沸騰させて水蒸気を作り、塩分が溶解した部分が残ります。

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真水は水蒸気として収集され、これらの区切りの上部に溜まり、濃縮されます。残りの塩水は、システムの他の部分でリサイクルされるか処分されます。

これらの技術は、世界の乾燥した国々で効果的に使用されています。例えばサウジアラビアのラス・アル・カイア淡水化プラントは、逆浸透膜と多段フラッシュ法の両方を使用しています。このプラントでは、毎日100万立方メートルの淡水化された水を精製しています。イスラエルのソレク淡水化プラントは、逆浸透膜をもっぱら使用しており、一日に62万立方メートルもの真水を国の上水システムに供給することができます。

なぜカリフォルニアの干ばつは解決できないのか?

こうした技術があるにもかかわらず、なぜカリフォルニアの干ばつ問題に使用されないのでしょうか? なぜなら、世界で最も大きな海水脱塩プラントでさえ補助的なものであり、すべての人口をサポートすることはできないからです。

真水の精製に逆浸透膜を使っているカリフォルニアのカールスバッド淡水化プラントの例では、最大でも地域に必要な水需要の10パーセント以下しか供給することはできません。

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そのうえ海水の淡水化は、雨水や排水といったその他の水供給源に比べて2倍のコストになることもあります。大規模な淡水化における最大の支出は、海水を熱したり、水に圧力をかけるために必要なエネルギーに対するものです。

試算によれば、2万5,000ドル分(約260万円)もの電気代が、たった1,200軒の家庭の1か月分の水を供給するために必要となります。

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さらに、濃縮されて残った塩水をどのように処理するかという問題もあります。

これらの濃縮塩水をただ単に海に捨てることはできません。高濃度の海水は、海の魚やサンゴ、海藻にダメージがあるからです。

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最後に、運搬についても考えなければなりません。カリフォルニアのほとんどの水は農業に使われていますが、州の生産者の大半は、海水の淡水化の恩恵を受けません。

というのも、カリフォルニアの多くの農地は内陸部にあり、淡水化プラントを設置する海岸とは遠く離れているのです。

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ですから、カリフォルニア州ののどの乾きを癒すには、私たちは別の新しい脱塩技術を試してみなくてはなりません。研究者たちが有望と見ているカリフォルニアで開発中の技術の1つは、太陽の熱エネルギーを淡水プラントに利用するソーラー淡水化です。

1つの例としては、多段フラッシュ法に非常に似ている多重効用蒸留プラント(MED)というもので、その違いは、第一段階の水蒸気が第2段階の水を沸騰させ、第2段階の水蒸気が第3段階の水を沸騰させ、その後も同様に続いていくというプロセスになっています。

ソーラー脱塩は、通常の脱塩方法より低価格で真水を作り出し、より少ない塩水で済むかもしれません。いくつかの企業は、海水の93パーセントを真水に変換できるとさえ試算しています。それでもなお、海水脱塩の運搬とコストの問題は、カリフォルニアの干ばつ問題を解決するには非常に大きすぎます。

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しかしさらなる研究と創意工夫によって、干ばつに襲われた各地のコミュニティでは、少なくとも脱塩プラントが渇水を緩和することができるでしょう。

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