その人がお店に入っている時は売上がアップするのに、現場を外れた途端に混乱し、売上も落ちてしまう…。珍しくないシチュエーションですが、なぜそんな事が起きてしまうのでしょうか。今回の無料メルマガ『飲食店経営塾』では飲食店コンサルタントの中西敏弘さんが、このような状況に陥ってしまう原因を分析するとともに、その「防止法」を紹介しています。

あの人がいたときは売上がいいけど、いなくなると売上が下がる理由とは?

「あの人が店にいるときは、売上が上がるけれど、移動すると売上が下がってしまう」という店長が時折見かけられます。本人自身は、自分が店に入れば売上が上がるということで、すごく自信満々なのですが、会社からすると、実はこういう人が困るんですよね。なぜなら、「その人しかできない」仕事のやり方をしてしまうので、その人がいなくなると、誰もその“マネ”をできず、すぐに売上が下がってしまうからです。

こんな人は実力があるだけに勿体ないのですが、なぜ、自分がいるときは“売上が上がる”のに、自分がいなくなると“売上が下がる”のかと言えば、こういう人は、店に「仕組み」を作らないからです。仕組みを作らず、自分の頭の中で考え行動し、人を動かしているからなんですね。

僕は、ご支援先に、「マニュアル」ではなく「仕組み」を作ることを意識しているのですが、「マニュアル」と「仕組み」の違いとは何なのでしょう?

僕自身は、「マニュアル」というのは、ただただ作業手順が書かれたもの。「仕組み」とは、型をつくり、その型に従い“考えながら”やれば、多くの人ができるようになるもの。「マニュアル」は多くの人がなんとなく分かると思いますが、「仕組み」はやはり難しいですよね?

「仕組み」をもう少し説明すると、例えば、お店のオペレーションで、“悪い意味で”できる店長は、すべてを自分で行ってしまいます。店の混雑具合に従って、自分が先頭に立って動き、各スタッフに的確に指示しながら動かしていく。だから、このできる店長が店にいるときは、いいオペレーションができ、お客様満足度も高いが、店長がいないと、指示命令する人がいないため、各スタッフがどう動けばいいか分からないので、各々が自分勝手に動いてしまい、各々の連携もとれず、オペレーションがごちゃごちゃになってしまう。

オペレーションを「仕組み化」するというのは、ポジションを確立し、各ポジションがどんな動きをすればいいのか、動く範囲をすべて決め、各ポジション同士がどういう動き、連携をすればいいのかを店に落とし込んでいく。これが、オペレーションを「仕組み化」するということです。

この仕組みが落とし込まれていれば、できる店長がいなくなっても、誰がどう動けはいいのかが各々が理解しているので、いつもオペレーションが円滑に回るようになります。もちろん、仕組みがあればすべてOKではなく、各ポジションのあるべき状態を達成できる様、「教育」することも大切です。

これら以外の仕組みとしては、アルバイトに毎日目標設定することも、「仕組み化」できます。先ほどの決められているポジションごとに、毎日、誰がどのポジションで仕事をするのかをシートに記入し、各々に店長がその日の目標を設定します。

アルバイトが出勤したら、各自がそのシートを読み、自分の今日の目標、そして、当日の注意点を把握した上で仕事をする。そして、営業終了後、目標に対しての振り返りを各アルバイトが行い、各自に対して店長がフィードバックをする。このようなシートを作れば、日々の目標設定とフィードバックを同時に行え、アルバイトとのコミュニケーションを図る事にもつなげることにもできます。

先述しましたが、「マニュアル」は言葉は悪いですが、何も考えず作業をさせるだけのものであり、「仕組み」は、その仕組みを活用する人に「考える」ことを求めます。だから、「仕組み」があることで、各々に「考えて仕事をする」ということを必然的に求められます。だからこそ、仕事をうまくできたときに、「達成感」が感じやすく、それが「やりがい」「仕事の楽しさ」に繋がっていくのです。これが上手く機能すれば、「人がイキイキ、楽しく」働く店へと変貌させることができるのです。

普段、僕のご支援先にはこのように「仕組み」をたくさん作り、各スタッフに「考える」ことをすごく求めます。その分、成長率も鈍く、各スタッフも大変ではあるのですが、仕組みが定着するような「教育」を粘り強く続けさえすれば、仕事の質が下がりにくい店舗、仕事を楽しくできるような店舗、会社を作り上げることができるのです。

皆さんの会社でも「人が成長する」ような仕組み、「人が活かされるような」仕組みをたくさん作ってみませんか?

image by: Shutterstock.com

MAG2 NEWS