新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために中断が続くJリーグ。再開時期もいまだ不透明ですが、この中断期間は、チームや選手にどのような影響があるのでしょうか。サッカー情報で人気のメルマガ『J3+ (メルマ)』の著者じじさんが、2月の開幕時につまずいたチーム、けが人が数多く復帰するチームなど、プラスに作用するチームを上げています。さらには、再開後の過密日程がもたらす影響についても言及しています。

Jリーグは中断期間に突入

新型コロナウイルスの影響でJリーグは中断期間に突入している。J1やJ2の開幕戦が行われたのは2月21日(金)と2月22日(土)と2月23日(日)だったので「最後の試合」から1か月近くが経過している。「4月3日(金)の再開を目指している」と報じられているが、一度、再延期になっていることや昨今の日本社会の空気や欧米での急速な感染の広まりなどを考えると再々延期になることも十分に考えられる。プロ野球のペナントレースは4月10日(金)の再開が有力視されているが「どのタイミングで再開するか?」は難しい。

世間の空気を読み間違えるとバッシングの対象になるだろう。一方で過度な自粛に対して悲鳴の声を上げる団体も増えており、Jリーグが先頭を切って再開にこぎつけることが出来るとJリーグのイメージは良くなるだろう。欧州の今の状況を考えると「Jリーグよりも先に欧州リーグが再開する可能性」はほぼゼロである。中国や韓国のサッカーリーグが先に始まることもあり得ないことを考えると日本国内のみならず、世界中に向けていいアピールになる。Jリーグの動き方に注目しているのは国内の関係者だけではないはず。

2020年の東京五輪の延期や中止の話も出ているが今の流れでは「予定通りに開催する」というのは難しいと思われる。「仕切り直して2021年あるいは2022年に延期する」という可能性が日に日に高まっているが今回の新型コロナウイルスでの延期によってJリーグあるいはJリーガーの運命も大きく変わる。東日本大震災のときも1か月半ほどリーグ戦が中断されたが「震災がサッカー人生の転機になった」という選手は少なくない。具体的に名前を挙げてみると当時はJ2だったFC東京でプレーしていたFW平山である。

前年の2010年に日本代表デビューを果たして2011年はFC東京の攻撃の中心になることが期待されていたが中断期間中の練習試合で脛骨・腓骨を骨折。結局、2011年は1試合の出場にとどまった。自身としては初と言えるほどの長期離脱を余儀なくされたが、その後、度重なる怪我の影響で不本意なサッカー人生になった。怪我に苦しんだサッカー人生だったが「震災での中断期間中に怪我をしなかったら…」と思ってしまう。国見高の頃から怪物ストライカーと言われたFW平山は2018年の1月に現役を引退している。

震災でサッカー人生が変わったケース

FW平山とは対照的なのは当時は鳥栖に所属していたMF藤田直である。彼も同じように震災での中断期間中に怪我をした。左足第5中足骨を骨折し全治3カ月と診断されたが「走れないので上半身を鍛えてロングスローを自分の武器にしようと思った」という。この期間中に背筋を鍛えて伝家の宝刀と言われるロングスローを身に付けた。夏に復帰を果たすとロングスローが鳥栖の大きな武器になった。2011年に鳥栖はJ2で2位になって初めてのJ1昇格を果たしたがその後の彼の活躍については今さら言うまでもないだろう。

予期せぬ中断がプラスに作用することもあるし、マイナスに作用することもある。MF藤田直の場合はプラスに作用して、FW平山の場合はマイナスに作用してしまったが今回の新型コロナでの中断についても同じようにプラスに作用する選手とマイナスに作用する選手が出てくるのは確実である。プラスに作用しそうな選手としてすぐに名前が浮かぶのは、やはり、G大阪に入団したDF昌子になる。怪我明けということもあって開幕戦はプレーできなかったが慌ててコンディション面を仕上げる必要がなくなったのは大きい。

開幕戦で最高のスタートを切った徳島のMF西谷和や柏のMF江坂のような選手にとっては「残念な中断」と言えるが、チーム全体で考えた場合、最も恩恵を受けそうなのは鹿島である。ACLのプレーオフを含めて公式戦はここまで3戦全敗。開幕戦はアウェイで広島に0対3で大敗するなど最悪のスタートを切ったがチーム力を高めるための絶好の期間になるだろう。MFレオ・シルバが怪我をして離脱してしまったのは残念に感じるが新しい選手が多くて、かつ、新しいサッカーに取り組んでいる最中なのでプラスの面は大きい。

同じように黒星スタートの清水もコロナでの中断がプラスに作用しそうなチームである。ホームでFC東京と対戦したJ1の開幕戦の内容はまずまずだったが昨シーズンと比べると全く違ったサッカーに取り組んでいるので「見直す期間が出来たこと」は大きなプラスと考えられる。FWティーラシンやFWカルリーニョス・ジュニオなどの新戦力がフィットするための時間が出来たのも大きい。ここまでの2試合で計8失点を喫しているので守備に不安を抱えているが方向性は間違っていない。中断期間がプラスに作用しそうな感じはする。

怪我人が発生しているチーム

シンプルに怪我人が多数発生しているチームにとっても中断期間はプラスである。J1のクラブで怪我人が続出しているのは名古屋と仙台である。前者はFWジョーやDF太田宏やMF長谷川アーリアジャスールを欠いており、後者はMFクエンカやFW長沢駿やFWアレクサンドレ・ゲデスを欠いている。FWジョーやFW長沢駿やFWアレクサンドレ・ゲデスについては再開初戦に間に合う可能性もある。MF長谷川アーリアジャスールやMFクエンカは長期離脱中なので難しいが「欠場せざる得ない試合数が減る」というのは確実である。

再開後のJリーグはとんでもない過密日程になることが予想されるが「選手層の厚いチーム」や「保有している選手の数が多いチーム」も(相対的には)プラスである。J1のクラブの中で選手層が厚いチームというと横浜FM・川崎F・鹿島・C大阪・柏あたりである。逆に選手層があまり厚くないチームは厳しい。神戸の選手層は決して薄くはないがMFイニエスタ、MF山口蛍、DF西大伍、DF酒井高、FW古橋など替えの利かない選手がたくさんいる。ACLがあることも加味すると神戸にとってはあまりいい話ではないだろう。

日程的な話をすると2020年の東京五輪の影響で序盤戦はホーム開催の試合が多かったFC東京は難しいことになる可能性がある。昨シーズンもラグビーW杯の影響で序盤はホーム戦が多かった。その有利さを生かして序盤から突っ走ったが夏場は同じようにアウェイ戦が続いていく。貯金がない状態でアウェイの連戦が続くようだと厳しい。6節まではホーム戦が3つ、アウェイ戦が3つなので同数になるが7節からの6試合のうち、5試合がホーム戦になる。再々延期になるようだとホーム戦が続く時期が消えることになる。

逆に札幌にとっては2節から6節が延期になったはプラスである。札幌のみならず、北国のチームは序盤戦はホーム戦が少なくなるのが普通である。今シーズンの札幌も開幕からの5試合のうち、ホーム戦は1試合のみ。アウェイ戦が多くなるとスタートダッシュはかけにくくなるがディス・アドバンテージがなくなる。「1試合の重みは変わらない」とは言っても序盤の1試合と中盤の1試合と終盤戦の1試合の重みが等しく同じ「1/34」とは言えない。ちなみに予定通りだと札幌は開幕からの10試合のうち、ホーム戦は3試合のみだった。

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