テレビのニュースや新聞で、新型コロナウイルス感染者数が連日報道されていますが、東京の感染者数がなかなか減少しません。むしろ今は、50人以上の日がざらで、その数が下がる気配すらないようです。そんな東京の現状の危機を警告するのは、メルマガ『8人ばなし』著者の山崎勝義さん。山崎さんは東京都の見解や発表で連発されるあのフレーズに異議を唱えています。

新型コロナ感染にまつわる現状は5月より悪化している

直近6日間の東京における新型コロナウィルス感染者数は
6/24 55人
6/25 48人
6/26 54人
6/27 57人
6/28 60人
6/29 58人
である。正直、多い。これで「after Corona」などとよく言えたものである。

この現状を説明するのに都は「積極検査」と「所謂、夜の街関連」という二つのキーワードを挙げている。毎日毎日口を開けばこればかり、どうやらその二点で押し切るつもりらしい。

しかし、ことはそう単純だろうか。

そもそも「積極検査」とは、やらんでものところまで検査範囲を拡大するということである。その結果、数字が増えるのは当たり前だから慌てるには及ばないとでも言いたいのであろう。しかしである。検査態勢を拡充し、やらんでものところまで検査を拡げさえすれば、いくらでも出て来るというのはそれはそれで大問題ではないか。

確かに、検査態勢に余裕がなく鑑別診断をする上で必要不可欠な検査しかできなかった時の陽性者数と、幾分余裕ができた時の陽性者数は単純比較できないところがある。母数が違うからだ。しかし逆に言えば、たまたまでも母数がほぼ同じなら過去のどの時点の逼迫度と同程度かが分かるということでもある。

参考までに、以下に東京都発表の数字を挙げる。

5月9日
検査実施人数 964人
陽性者数 28人
東京都算出の陽性率 3.0

6月27日
検査実施人数 1005人
陽性者数 52人
東京都算出の陽性率 3.1

どう見ても、5月9日の数字よりも6月27日の方が悪い。しかも5月9日の数字はやらなければならなかった検査に基づく数字である。一方、6月27日はやらんでもの検査をも含んでいるということであるから事態は猶悪い。安心材料などどこにもない。事態は今、5月9日と同程度かそれ以上に悪化しているのである。

また「所謂、夜の街関連」というフレーズも十分注意して聞く必要がある物言いであるということを指摘しておきたい。というのも容易に心理的バイアスがかかるフレーズだからである。

「いかがわしいところに出入りするから悪い病気をもらう」
「いかがわしいことをするから悪い病気をもらう」

こういった連想は悪意がなくても知らず知らずのうちに頭の中ででき上がってしまうものである。

そもそも「夜の街」自体が悪いという訳ではない。彼らも法を守り、税を納めるなら、その権利において他の仕事に従事する人と何ら変わるところはない。それでも猶、抵抗を感じると言うならこう言い換えたらどうであろう。「コロナに最も弱い業種の一つ」と。

それによくよく考えれば「夜の街」を封鎖しさえすれば、この問題は解決するのである。ところがそれができない事情がある。補償ができないからである。これは金がないからではない。GDPだけで見ても東京はもはや都市というより一国相当である。「夜の街」の補償くらいは何でもない。それでもできない。他の業種を見殺しに、あるいは見放しにしたという実績があるからだ。救うべき時に救わないとこういう事態になるのである。この「夜の街」が「蟻の一穴」とならないことを祈るばかりである。

今、夏休みを前に東京では感染が燻っているような状態である。このまま地方に帰省や旅行をして果たして、大丈夫なものなのか甚だ疑問である。そして甚だ不安である。

ここは「Stay Tokyo」でいいのではないか。東京の夏もそう悪くはない。また「Stay away from Tokyo」でいいのではないか。田舎の夏もいいものだ。

最後にこれだけは言っておきたい。
我々の最大の武器は自粛などではなく自制である。そこに行くべきか行かざるべきか、そこにあるべきかあらざるべきか、常に自問し自己を抑制する力こそが今、大切なのである。

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