昨年、一昨年と相次いで墜落事故を起こし、346名もの尊い命が犠牲となったボーイング737MAXですが、その「欠陥」を社員が認識していた可能性が高まっています。人気ブロガーのきっこさんは自身のメルマガ『きっこのメルマガ』で、ボーイング社が発表したその証拠たりうる社内メールを紹介し同社を批判。さらに、やはり「欠陥機」と噂されるオスプレイが日本国内で唯一飛行できない場所を、その理由とともに暴露しています。

米ボーイング社の欠陥隠蔽問題

日本のマスコミは、昨年の暮れからずっと「ゴーン」「ゴーン」「ゴーン」と、年が明けても除夜の鐘が鳴りやまないバカ報道を続けているので、知らない人も多いと思いますが、1月9日、アメリカのボーイング社が、とても重要な発表をしました…と書き出すと、ほとんどの人はイラン政府が撃墜を認めたボーイング737-800の問題だと思うでしょうが、そうではありません。737は737ですが、ミサイルでも発射されなければ墜落しない優秀な「737-800」ではなく、欠陥機「737MAX」の話です。

皆さんご存知のように、ボーイング737MAXは、2017年の就航から1年半後の2018年10月29日に、ライオンエア610便が離陸後約10分で墜落し、乗客乗員189名全員が死亡しました。そして、その半年後の2019年3月10日、今度はエチオピア航空302便が離陸後約6分で墜落し、乗客乗員157名全員が死亡しました。

どちらの事故も状況が酷似していた上、エンジントラブルなどのメカニカルな原因ではなく、どうやらセンサーなどのシステムに原因があるのではないかとの疑惑が濃厚になりました。そして、ボーイング737MAXは世界各地で運航停止となり、ボーイング社は2020年1月から生産中止を発表しました。ここまでは、少しでも航空機に興味がある人なら、知っている話だと思います。

安全なボーイング737-800なら、あたしも乗ったことがあります。3年前の2017年、九州にいる時に東京に急用ができ、新幹線は値段も高いし時間も掛かるため、ソラシドエアで大分から羽田に飛びました。料金は新幹線の3分の1で、時間は5分の1なので、仕方ない選択でした。ちなみに、ソラシドエアは料金が安いからLCCだと思っている人が多いですが、そうではありません。ソラシドエアは企業努力で料金を安く抑えているだけで、JALやANAと同様のFSC(フルサービスキャリア)です。あたしは、どんなに安くてもLCCは絶対に利用しません。

ま、あたしのことは置いといて、今回のメインテーマですが、1月9日にボーイング社がどんな発表をしたのかと言うと、それは、2015年から2018年3月までの「ボーイング社の社員同士の737MAXに関する社内メール」の内容なのです。先ほど書いたように、737MAXは2017年から就航され、2018年10月29日に最初の墜落事故を起こしていますから、これらの社内メールは「就航前の開発段階から、最初の事故の7カ月前まで」にやり取りされたものということになります。そのメールの内容とは…。

2015年8月 「FAA(米連邦航空局)が介入しようとすれば我々の進捗が妨げられるので、それ(隠蔽)は起こってしまう」

2017年 「この旅客機(737MAX)は、道化師が設計したもので、それを監督しているのが猿たち(FAA)だ」

2018年 「私は昨年に行なった隠蔽について、まだ神から許しをもらっていない」

2018年3月 「737MAXのシミュレーター訓練を受けたパイロットの旅客機に自分の家族を乗せたいか?私は絶対に嫌だね」

これだけ読んでも意味が分からないと思いますので、複数の米紙の記事を読んだ内容をザックリ説明すると、このボーイング737MAXは、開発段階から複数の社員が安全性に疑問を持っていたようです。新規のソフトウェアを導入したフライトシミュレーションが不具合を連発したため、このままでは安全に飛行できない。普通ならシステムを再構築して追加のフライトシミュレーションを導入すべきなのに、そうすると費用も時間もかかってしまう上に、FAAによる認可時期が先送りされてしまい、各国の航空会社との契約に問題が生じてしまう。そのため、ボーイング社は、追加のフライトシミュレーションを導入せずに、安全性に問題があるまま事実を隠蔽して認可を取得し、737MAXを売りさばいた…という話なのです。

この問題は、昨年2019年10月の時点で、すでに報告されていました。737MAXの開発段階の2016年に、同機のチーフテクニカルパイロットだったマーク・フォークナー氏が同僚に送ったメールには、次のように書かれていたことが発覚したのです。

737MAXのフライトシミュレーターは失速防止システムが作動しまくっている。あまりにも酷い状況だが、私はFAAに嘘をついてしまった。

フォークナー氏によると、737MAXのために新規に設計された失速防止システム「MCAS」が、センサーの誤情報に基づいて作動してしまい、飛行中に機体が急降下して、パイロットによる操縦ができなくなるという問題が連発していたそうです。しかし、ボーイング社は、この問題を隠蔽し、納期ありきで安全性に問題があるまま欠陥機を売りさばいたのです。

この隠蔽された誤作動って、二度の墜落事故の状況と酷似していると思いませんか?2018年と2019年に起こった墜落事故は、どちらも離陸直後に機体が不自然に急降下して発生しているのです。もしもボーイング社が、問題点を隠蔽せず、きちんと追加のフライトシミュレーションを導入し、安全性を確認していたら、こんな事故など起こらなかったのではないでしょうか?

百歩ゆずって、徹底的に安全確認を重ねた上で運用した新型機で事故が起こり、後から欠陥が発覚したのなら仕方ありません。しかし、今回のケースは、何年も前の開発段階から欠陥が指摘されており、内情を知るボーイング社の社員が事故の7カ月も前に「自分の家族を乗せたいか?私は絶対に嫌だね」と同僚にメールしていたのです。そして、今回、こうした社内メールが公表されたことによって、昨年10月に公表されたマーク・フォークナー氏のメールの内容も裏付けられたのです。

今回のボーイング社の「金儲けありき」の隠蔽問題で、あたしは、昨年4月の自衛隊のF-35の墜落事故を思い出しました。2019年4月17日に配信した『きっこのメルマガ』第19号の「安倍晋三が大人買いした欠陥戦闘機 F-35」に詳しく書きましたが、安倍晋三首相がトランプに命令されて定価の2倍以上の言い値で100機以上も買わされたロッキード・マーチン社の新型戦闘機F-35も同様で、開発段階でフライトシミュレーションを行なった複数のパイロットが「F-35には二重の致命的な欠陥がある」と断定した上で「F-35は、曲がれず、上昇できず、思ったように動かすことができない」と指摘していたのです。

しかし、これまでの開発に莫大な予算を投じているロッキード・マーチン社としては、ボーイング社と同様に、これ以上は予算も時間も使えないため、欠陥が分かっているまま売りさばいたのです。ちなみに、昨年4月に青森県沖に墜落して航空自衛隊のベテランパイロットが犠牲になったF-35は、日本に配備されるまでに950回以上もコンピューター上の不具合が発生していたことが後から分かりました。それなのに、安倍政権は「事故はパイロットの人的問題で、機体には何も問題はなかった」と言って、大量購入、大量配備の見直しをしませんでした。

F-35と同様に、アメリカのベル・ヘリコプター社とボーイング・ロータークラフト・システムズ社が共同開発したオスプレイも、開発段階から構造上の欠陥が指摘されており、実際に墜落事故が多発したため、アメリカでは住宅の上空は飛行禁止になりました。しかし、開発に莫大な予算を費やしたため、少しでも売りさばかないと元が取れないので、日本が定価の2倍以上の言い値で買わされました。そして、今、あたしたち日本人が住んでいる住宅や、子どもたちが通っている学校の上空を飛んでいるのです。

でも、日本国内で欠陥機オスプレイが飛行できない場所が1カ所だけあります。それは、日本に駐留している米軍関係者が住んでいる「米軍住宅」の上空です。沖縄の在日米軍のオスプレイは、日本人の住宅の上も小学校や病院の上も爆音をあげて普通に飛行していますが、「米軍住宅」の上だけは避けて飛行しているのです。どうして、こんなにもおかしなことが起こっているのか?それは「アメリカでは住宅の上空は飛行禁止」だからです。

日本の上空を飛行するオスプレイやF-35のような軍用機から、あたしたちが利用する民間機のボーイング737MAXまで、どれも「欠陥」が分かった上で売り付けられていただなんて、アメリカの守銭奴企業はマジでいい加減にしてほしいです。開発した企業の社員が「自分の家族は絶対に乗せない」と断言している欠陥旅客機に、お金を払って乗っていた人たち、そして、墜落して亡くなってしまった多くの犠牲者やそのご遺族たち、本当に気の毒です。

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