アメリカの前大統領補佐官ボルトン氏によるトランプ大統領の「暴露本」が23日に発売され、早くも話題となっています。前回、「崖っぷちトランプ。前大統領補佐官『暴露本』で早くも株価に影響」の中で、発売前にもかかわらず株価が左右されるなど、大きな影響が出たと指摘したコンサルタントの今市太郎さん。今回のメルマガ『今市太郎の戦略的FX投資』では、ボルトン氏の本がトランプ大統領の暴露本であると同時に、なぜか安倍首相の「体たらく外交」の暴露本でもあるという見方を解説しています。

ボルトン氏の暴露本でわかる、安倍首相の驚くべき低レベル外交の真実

このメルマガでも事前にご紹介しましたとおり、ボルトン前大統領補佐官の暴露本がとうとう予定通りに発売となりました。事前のトランプ政権の差し止め請求からどんなに凄い内容なのかと思って、さっそくアマゾンで購入して電子書籍で読み始めているのですが、内容はたしかにトランプがいかに大統領の器から程遠い存在で、倫理観などみじんも持ち合わせていないということを延々とボルトンの視点で、事実ベースでありながらもボルトン流のきつい味付けで書かれたものであるということなのでしょう。

ボルトン氏はイエール大学法学部の首席卒業で、スフィンクスのある国の大学を首席卒業したとかいう真偽不明のどこかの都市の都知事とはくらべものにならないぐらい頭脳明晰であり、しかも異常なメモ魔でも知られていますから、まったくもって捏造された内容であると考えるのはかなり無理がありそうです。

しかしこの本、我々日本人が読み進めていきますと、異常とも思えるほど安倍晋三首相に関する記述が多いことに改めて驚かされます。完全に勘定したわけではありませんが、正の字をつけて読み進めていくと簡単に100件以上安倍総理のことが記されており、たった1年半程度のボルトンの在任期間から考えれば、驚くほとトランプ・安倍の接点が多かったことに驚かされます。

ただその内容の多くは決して安倍首相の卓越した外交能力を示したものではなく、あえて誤解を恐れずに言えば、太鼓持ちのような体たらくなものが一貫していることに気づかされます。見方によってはこの本はトランプよりも、むしろ安倍首相の体たらく外交の暴露本なのではないかとさえ思われるものがあるわけです。

どうして「外交の安倍」と言われるのか不思議なほどのレベルの低さ

この本に登場する安倍首相の行状をかたっぱしから逐語訳してご紹介することはさすがにできませんが、全部読み終えてはいないもののざっと目を通しますと、外交の安倍などと言われた愁傷の外交実態が詳らかになっており、ボルトンも安倍氏がトランプともっとも個人的な関係を築いていると一応の評価はしているものの、トランプ〜安倍の決して対等なものではなく、ほぼ太鼓持ちのような発言でトランプのご機嫌を損じないように最大限の配慮をしてきたことがよくわかります。

とにかく反論や口答えされるのが大嫌いなトランプのことですから、あらかじめなんでも差し出し一切口答えしない安倍首相の存在がお気に入りなのは間違いないようですが、それはこの本を読む限りまったく対等なレベルではなく、あたかも属国の朝貢外交を露わにしてしまっています。

安倍首相が息巻いた「イラン訪問」の裏側

この本の中でまず目についたのが、2019年トランプは安倍首相に緊張感の続くイランとの橋渡しを依頼したという話しです。これはボルトンも後になってから知ったことだと書いていますが、恐らくトランプの依頼ということで、外務省の官僚を総動員して調整を務めたのでしょう。同年の5月27日東京で行われた日米首脳会談で、安倍首相は正式に6月イラン訪問を告げたそうですが、ボルトンによれば当のトランプはうたた寝中でろくにその話を聴いていなかったとのことです。

5月に国賓として訪日する前に安倍首相と会ったボルトンはそのタイミングで、安倍首相がトランプの頼みでイランに行くことにした、自分には役に立てる見込みがあると聞かされたそうですが、当時は失敗するのが目に見えている役割をトランプが安倍首相に押し付けたのは明白に見えたものの、これは酷いアイデアであると安倍首相に口にすることはできなかったと振り返っています。

イラン訪問の結果は皆さまご存知の通りで、41年ぶりの日本の首相の訪問という触れ込みでしたが、最高指導者のハメネイ師はトランプは意見交換するにふさわしい相手ではないと頭から突っぱねる発言をし、ちょうどその会談の最中にイラン沖で日本などの海運会社が運航するタンカーが攻撃される始末で、この首脳会談は完璧な形で失敗に終わります。

トランプの依頼でどうみてもガキの使いにしかならないイラン訪問を実現させた安倍首相は、帰国後さっそくトランプとの電話会談を実施しましたが、トランプ自身はすでに自分が依頼したことさえすっかり忘れ、協力には感謝するが個人的には日本に米国の農産物をもっと買ってもらう方が重要だと返答して、一か月もたたないうちにその興味はイランよりも自分の大統領選挙の再選に有利に働く材料に移っていたといいます。

ボルトンは、トランプはとにかく個人的利益と国家の利益というものの違いが全く判らないと酷評していますが、まさにこのエピソードはその所以ともいえるものだと言えそうです。

なんでも言うことを聞いてしまう典型的な抱きつき外交の所産

このメルマガでは安倍首相の対米外交姿勢は本当に今のままで大丈夫なのかということを何度かご紹介し、MoneyVoiceにも掲載されていますが、どうも私が危惧したことはほぼ事実のようで、この本を読み進めれば進むほどそのやり方の稚拙でろくでもない、いわゆる抱きつき外交である点が呆れる状況です。

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米朝首脳会談を巡るやりとりでも安倍首相は多く登場することになっていますが、韓国の文在寅大統領がかなり厳しい発言をしたのに対し、安倍首相はとにかくトランプべた褒めの状態で、日韓のリーダーの言動が大きなコントラストとなって現れたことを物語っています。国内では米朝会談の直後次は私自身が、金正恩委員長と向き合い、解決するなどと耳障りのいい発言を安倍首相がしていますが、結局何のアクションもなければ進展もなく、トランプ安倍共に北朝鮮は政権にプラスになるよう利用していたことが浮かびあがってくる内容となっています。

すべてのエピソードを紹介したらきりがない状態ですが、事程左様に安倍政権の対米外交はトランプの言いなりで、果たしてこうしたやり方が本当に国の利益を確保するうえで、まともに機能しているのかどうかかなりクビをかしげたくなる内容満載で、トランプのことよりも安倍首相の行状を把握するのにはお勧めの一冊となっています。国内ではもはや敵なし、やりたい放題で、すでに法治国家の枠組みを大きく逸脱してしまった感のある安倍首相ですが、トランプに対する対応はお粗末極まりないことが改めてこの本で暴露されてしまった状況です。

為替の世界ではドル円は常に米国との政治的駆け引きによりその水準が決まってきた経緯がありますが、トランプのいうことなんでも聞きますの安倍政権では、米国の連邦債務が今年年末で28兆ドルを超えるから、日本は円高にシフトするようになどと言われたら、二つ返事で実施してしまいそうで恐ろしいものがあります。

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