中盤から注目を集める春アニメ

 アニメ全盛のこの時代、シーズンごとに驚くほど多くの作品が放送されるようになりました。アニメファンにとってはうれしいことですが、ここまで多いとすべてをくまなくチェックするのは難しいものです。きっと第1話だけを見て、その後も見続けるか否か選別する人は少なくないでしょう。

 しかし作品によっては、第3話から第4話辺りからブーストがかかるケースも少なくありません。2024年春アニメのなかでも3話、4話から急展開を迎えた作品もありました。

※この記事には『戦隊大失格』『ガールズバンドクライ』『変人のサラダボウル』の4話までの内容を含みます。

●期待を裏切る超展開!『戦隊大失格』

 アニメ『戦隊大失格』は、大戦隊「竜神戦隊ドラゴンキーパー」と、悪の怪人軍団による戦隊アクションです。ただ、この作品はいわゆる普通の「戦隊もの」とは異なり、主人公は悪役の下っ端雑魚「戦闘員D(CV:小林裕介)」という、斬新な設定でした。

 序盤の戦闘員Dは、戦隊のリーダーである「レッドキーパー(CV:中村悠一)」が戦闘に用いる神具を奪うべく暗躍します。山場が訪れる第3話では、いよいよ神具に手が届くというところまでたどり着きますが、戦闘員Dは戦隊メンバーに見つかってしまい、最期は「ブルーキーパー(CV:井上剛)」によって爆破されてしまいました。

 戦闘員Dは、協力者からも「死んじゃった」「君の犠牲はムダにしない」と言われ、状況は絶望的です。「主人公が死んでしもうた、こりゃ展開が読めんなあ」「どんでん返し的な展開があるんだろうか」と視聴者をザワつかせる、強烈なフックとなりました。

 ちなみに『戦隊大失格』の原作は、『五等分の花嫁』で人気を博した春場ねぎ先生です。緻密なストーリーに定評のある春場先生の作品なので、きっと今後も多くの人を驚かせる展開が仕掛けられているのではないでしょうか。

●主人公がだんだん愛おしくなる『ガールズバンドクライ』

 個性的なガールズバンドが描かれた青春アニメ『ガールズバンドクライ』は、3DCGと2Dアニメーションを巧みに融合したゲームのような映像が特徴的な作品です。

 親の反対を押し切って都会へとやってきた「井芹仁菜(CV:理名)」は、路上ミュージシャンとの出会いをきっかけに音楽の魅力に取り憑かれ、ボーカルとしての才能を開花させていきます。序盤は仁菜のバックグラウンドや音楽と出会うまでの経緯に焦点が当てられていましたが、話が進んでキャラクターが掘り下げられていくにつれ、視聴者の反応が変わっていきました。

 仁菜は我が強くワガママな性格で、思春期特有の反発心から天邪鬼な行動をしては後悔を繰り返します。いわゆる「めんどくせー女」なのですが、すぐ反省する素直な面が、意外にも憎めないと少しずつファンの間で好評を博しているのです。

 特徴的な映像、魅力あふれる個性的なキャラクター、本格的な音楽と、注目ポイントも多い同作。なかでも一番、目を引くのは、主要キャラクターがオーディションで選ばれた声優初挑戦のフレッシュなメンバーという点でしょう。まだこれから、『ガールズバンドクライ』にドハマリするファンが増えていくかもしれません。

●あの探偵マンガを読みたくなる?『変人のサラダボウル』

 ライトノベル原作の『変人のサラダボウル』は、異世界から現代の日本へ転移したお姫様と、経営難の探偵が織りなすほのぼのライフが描かれます。カルト宗教や夜のお仕事の関係者など、クセのあるキャラクターたちとの掛け合いが魅力のひとつです。

 なかでも皇女「サラ・ダ・オディン(CV:矢野妃菜喜)」が一番クセのあるキャラといえるでしょう。現代の娯楽を嬉々として受け入れ、第1話の時点で『名探偵コナン』にドハマリしてしまいます。いずれも小学館の作品だからか、コナンのコミックスもぼやかすことなく、しれっと登場していました。

 話が進むにつれ、サラが読んでいる巻数も着々と進み、第4話ではアニメ版を見たのかコナンのテーマソングを歌いながらスケボーにも挑戦しています。いったい彼女の「コナン愛」はどこまで深まるのか、それもまた見どころかもしれません。

 なお第4話でサラがコナンのテーマソングを歌うのは、地上波での放送のみです。大人の事情でAmazonプライム・ビデオなどの配信では、別の曲に差し替えられています。