鬼才・井筒和幸監督8年ぶりの新作アウトロー映画『無頼』(12月公開)でひときわ目を引くのが、ヤクザ者の夫を支えるヒロイン・佳奈を演じた女優の柳ゆり菜(25)。グラドル出身のベビーフェイスが嘘のように、血気盛んな子分たちから姐御と慕われる姿に不自然さはなく、“極妻”の凄みさえ滲み出ている。小柄な体のどこにそんな引き出しが!?答えは地元・大阪ミナミの気風にあった。

父親が飲食店を経営している関係で、『ミナミの帝王』で知られる大阪・難波界隈の繁華街が幼少期の遊び場だった。「大阪でキタと呼ばれる梅田や新地にはオシャレでスタイリッシュなイメージがあるけれど、ミナミはまさに『ミナミの帝王』そのままの雑多な雰囲気があります。人もパワフルだしワイワイしていて下町っぽい。外から来た人に『怖い』と思わせるくらいの活力があるし、そこにいるだけで元気になる。そんなミナミの街が私にとっての大阪」と郷土愛はいまだ薄れず。

食い倒れの街には様々な職種、背景、性格を持った人間が入り乱れる。十人十色の人間ドラマを見るともなく肌で感じてきた。「19歳まで育って、いい面も悪い面も見てきましたが、全部ひっくるめてミナミが好き。組長の夫や子分に対してドシッと構えた佳奈の懐の大きさや愛情深さがウソっぽく見えないのは、そんなミナミの女ならではの感性が私の中にあるからかもしれません」と地元の気風に感謝する。

生き馬の目を抜く芸能界でのサバイバル術も故郷から得ているようで「ミナミでは弱かったら生きてはいけないとさえ思っていたので、幼少期から『私の前を歩いていたら追い越すぞ!』という狂犬みたいな謎のメンタルを持っていました。レディになってもいまだにその気の強さと図太さは根っこにあるような気がする」と破顔しながら「ハングリー精神は女優としての長所。ミナミで生まれ育ってよかった」。これからも柳はミナミイズムを忘れることなく女優業に邁進していく。

(まいどなニュース特約・石井 隼人)