新型コロナウイルスの影響で、大規模イベントはもちろん、門出を祝う卒業式を実施しない大学が続出している。しかし、卒業式はなくなっても、せめて晴れ着だけでも着たいと思う学生も少なくないのではないだろうか。

 「だったら、自分たちで『写真卒業式』をやろう!」そう思い立った女子学生たちがいる。同志社女子大学学芸学部音楽学科の池西美帆さんをはじめとする、6人の学生たちだ。

 3月18日―同志社女子大学で卒業式が実施される予定だった日、彼女たちは袴姿でキャンパスに集まった。こぢんまりとした部屋に学部ごとで集まり、学位記だけを受け取ったあと、彼女たちはそのまま大学内で「思い出」を残す撮影会を敢行した。

 「大切な友だちとの思い出をきちんと残したい」。女子大生たちのその想いに応えたのが、大阪の写真家・古木絢也さん。古木さんは「卒業式がなくなっても、せめて写真くらいは残してほしい」の思いから、自らのFacebookに「写真で緊急応援、卒業記念写真。撮影基本料無料」とFacebook で投稿。池西さんはそれを見つけ、「私たちの撮影をお願いできませんか?」とメッセージを返した。

 そもそも古木さんが Facebook 投稿に踏み切ったのは、新型コロナウイルスの影響で卒業式撮影が激減したのがきっかけ。

 「―こんなにも卒業式が中止になってしまうと、卒業生にとってせっかくの門出が悲しいものになる。何とかできないか―と考えました」

 そんなときにアイデアのもととなったのが、卒業生の子を持つ知人との会話だという。「卒業式がなくなって、袴を着ることができないだなんてショックですね」と話すと、知人は「写真だけでも残したかった」と残念がっていた。そんな会話をヒントに、古木さんはFacebook投稿を行った。

 撮影は、よくある記念撮影はなく、戸外で自由なアングルで撮る「ロケ撮影」。京都市内の立派な今出川キャンパスの前や、由緒ある建物の中など、キャンパス周辺で行われた。晴れやかな天気の中で、彼女たちは「桜が咲いていてよかった!」と喜びの声を上げながら撮影に臨んだ。

 手をつなぎあったり、歩きながら談笑したり。4年間で深めた仲が垣間見えるような彼女たちの「自然な姿」を、古木さんはカメラに収めていった。

 在学中は、声楽を専攻していた彼女たち。学生生活でもっとも印象的な思い出は、学内で行われたオペラ公演だという。「大きな役を与えられてうれしかった」「朝7時から夜の9時まで、稽古大変だったよね」。そう言いながら歌い出す様子にも、古木さんは微笑みながらカメラを向け、シャッターを切った。「無事、このような形で卒業を祝うことができてよかったです」。

 卒業後は、引き続き声楽を勉強する学生もいれば、就職をするという学生もおり、それぞれの道を歩むことになる。

 「想像していた以上にたくさんのショットを撮影していただきました。こうしてカメラマンの方に撮ってもらうことは、なかなかない経験。本当に良い思い出になりました」(女子学生)

(まいどなニュース特約・桑田 萌)