多頭飼育崩壊で飼えなくなったと保健所に持ち込まれた白猫のシロップくん。猫の預かりなどボランティア活動をしているモカ姐さんは、譲渡会の手伝いに行った時に、たまたまシロップくんを見かけた。モカ姐さんは2匹の老猫を飼っていたが、昔、救えなかった白猫を思い出し、シロップくんを引き取ることにした。

多頭飼育崩壊の果て

長野県長野市の保健所では、保健所にいる動物の譲渡会が開催されるとき、一般の人も自分の家で保護している猫を譲渡することができる。行政とボランティアが協力し合い、里親さんを見つける活動が盛んで、基本的に殺処分をしないのだという。

2014年11月、長野県に住むモカ姐さんが譲渡会の手伝いに行った時、ある人が多頭飼育崩壊で飼いきれなくなった猫を、小さなケージにぎゅうぎゅう詰めにして持ってきていた。引っ越し先が小さな家なので連れて行けない、譲渡先が見つからなければ保健所に置いて行くということだった。

モカ姐さんは、その中の1匹、オッドアイの白猫のことが気になった。その日は、見ただけで帰宅したが、夢にまで出てきてしまった。

「かつて救えなかったことがある白猫のことが脳裏に焼き付いていて、印象に残ったのだと思います」

家族として迎えるまで

当時、モカ姐さんは、糖尿病の老猫を1匹と腎不全の老猫1匹を飼っていた。かかりつけの獣医さんに相談すると、「持病のある老猫は抵抗力がないので、万が一病気を持ち込んだら危険だ。新しい猫は迎えないほううがいい」と言われた。モカ姐さんは、そのこともよく考え、11月末、保健所に白猫を迎えに行った。

白猫は大きな猫だったが、ケージの隅で固まり、とても小さくなっていた。犬もわんわん鳴いていたので、怖かったのかもしれない。白猫と一緒に保健所に置いていかれた猫のなかには、ストレスで体調を崩し、亡くなった子もいた。譲渡会では小さなケージにすし詰めにされていたので、どんな子なのかよく分からなかったが、結構被毛が汚れていて、あちらこちらにハゲもあった。アレルギー体質ということもあるが、病院では、ストレスが原因で脱毛したのではないかと言われた。

「家に来ても怖がって、一週間くらい何も食べませんでした。普通に家の中を歩けるようになるまで1カ月くらいかかりました」

名前は、シロップと名付けた。

甘えん坊に

モカ姐さんは、先住の老猫のケアにも気を配った。シロップちゃんとはゆっくりゆっくり会わせたが、意外と大丈夫だった。高齢のおばあちゃん猫とは1年半、糖尿病のおじいちゃん猫とも2年半一緒に暮らすことができた。3匹で一緒にストーブにあたっていたこともある。

「猫2匹が闘病中で、ともすれば重い空気になりがちな我が家に、天真爛漫なシロップが来てくれてほっとしました。家の中が明るい雰囲気になりました」

老猫たちが亡くなってからシロップくんは、ものすごく甘えるようになった。モカ姐さんにべったりくっつき、首に手を回すようにして抱っこをせがむため、モカ姐さんは、抱っこひもを買おうと思ったこともある。

「老猫たちに遠慮して甘えられなかったのでしょうね。スイッチが入ったようにべったりしています」

いまでは、末っ子気質で、やりたい放題の毎日だという。

(まいどなニュース特約・渡辺 陽)