「道祖土」…この名字、読めますか? 姓氏研究家・森岡浩が日本人の難読名字を紹介します。

   ◇   ◇

埼玉県に多い名字で、道祖神に由来している。

道祖神とは、村外からやってくる疫病や悪霊の襲来を防ぐ神で、道の神ともいわれた。その信仰は地域によって違いがあるが、ご神体は石であることが多く、村の境目や峠、辻などに、自然石や、石に文字や像を刻んだものを置く風習は全国各地に広く見られた。現在は「どうそしん」と音読みするが、本来は「さえのかみ」「さいのかみ」といった。

1月14日か15日に門松や注連(しめ)飾り、書き初めで書いた物を持ち寄って焼く「どんど焼き」(左義長とも)は、平安時代に行われた宮中行事が起源とされるが、地方では道祖神の祭りとして行われることが多く、「さいとやき」と呼んで「道祖土焼」という漢字をあてた。ここから、道祖土の部分を「さいと」「さいど」と読む名字が生まれたとみられる。

現在、「道祖土」という名字は埼玉県比企郡川島町周辺に多い。また、青森県にある「妻神」「才神」と書いて「さいかみ」と読む名字も、「道祖神(さいのかみ)」に由来している。

◆森岡 浩 姓氏研究家。1961年高知県生まれ。早稲田大学政経学部卒。学生時代から独学で名字を研究、文献だけにとらわれず、地名学、民俗学などを幅広く取り入れながら、実証的な研究を続ける。NHK「日本人のおなまえっ!」にコメンテーターとして出演中。著書は「47都道府県名字百科」「全国名字大事典」「日本名門名家大事典」など多数。