新しい1年の始まりです。今年はおいしいものを食べに行きたいね…と思っているあなた。思い切って国境の島・対馬の「穴子(あなご)」はいかがですか? 激レアな穴子のお刺身から始まって、にぎりにフライ…ここでしか食べられない穴子のフルコースが楽しめます。えっ?対馬なんて長崎県でしょう?遠いじゃない…ですって? 実は対馬までは福岡から飛行機でたった30分ほど、ジェットフォイルでも2時間ちょっとで到着です。豊かな自然あふれる島だからこそ味わえるグルメを楽しんでみませんか。

穴子といえば、江戸前や瀬戸内あたりが有名ですが、水揚げ量が日本一なのは長崎県で、特に対馬で一番多く取れているのだといいます。中でも、対馬北部の西岸沖・韓国との国境付近の海は、海谷や海盆、岩礁が多く、対馬暖流と大陸沿岸水が交わる場所のため、穴子のえさとなるイカや甲殻類、小魚などがとても豊富。そのため肉厚でやわらか、しかも脂の乗ったジューシーな穴子が生息しているのだといいます。

というわけで、対馬北部・比田勝にある「すし処 慎一」さんにおじゃまして、 対馬西岸沖で取れた極上穴子のおまかせフルコース…いただいてみました。とてもおいしかったので、主なお料理を紹介しちゃいますね!

▼穴子のお刺身

穴子が好きな方も、お刺身で食べたことがある方はあまりいらっしゃらないのでは? すごいでしょ!

ただ、とても珍しい食べ方だと思いきや、地元では普通の食べ方だともいいます。

身の見た目は透き通るような白色で、フグにも似ているかもしれません。ポン酢でいただきますが、しっかりとした食感とともに、ヒラメのえんがわと上品な白身魚をあわせたような、魚の身の甘みがしっかりと感じられるおいしさです。

軽くあぶることで、表面がすこし縮んだようになって見た目が美しくなるだけでなく、旨味も増しているようです。 この日は近海で取れる4種類のお魚(サワラ・ヨコワ・マハタ・ヤイトガツオのあぶり)もセットで提供されました。

▼穴子の天ぷら・フライ

穴子の天ぷらはよくあるけれど、フライってなかなかないかも。オリジナルの梅肉ソースでいただきます。しっかりと厚みのある身をおいしく食べる方法として、フライは地元の人にはとても人気があるのだとか。天ぷらはとてもふわふわ。フライとの食感の違いも楽しめます。

▼穴子の1本にぎり

煮穴子のあぶりをまるごと1本つかってご飯をくるんとつつんだ、なんともぜいたくな穴子のにぎり。 こんな立派なお寿司を一口でいただいてしまっていいのかという高揚感も相まって、驚きのおいしさ。ふっくらした食感と、香ばしさが加わった穴子の甘みがたまりません。これを食べるために対馬に通うリピーターも続出しているといいます。

3年前にオープンした「すし処慎一」。対馬の穴子漁師直営の食事処として知られています。兄弟3人でされていて、長男の築城(ついき)慎一さん(48)が漁で取ってきた穴子を、三男の健太郎さん(41)が下処理するなど加工。そして、寿司職人である次男の順一郎さん(45)が料理に仕上げています。

穴子の漁は、カゴを深海に沈めて引き上げるかたちで行われており、穴子は傷つけられることなく、生きたまま持ち帰ってられるそう。その後おいしく食べられるようにするには、タイミングよく血抜きをして、神経締めを行うなど、鮮度を保つための下処理がとても重要だといいます。対馬の漁師さんたちは離島で輸送に時間がかかるというハンデを克服するため、10年ほど前からそういった加工を手がけるようになってきたそうで、その様子はまさに「おいしい穴子を釣ってくるだけではなく、作るような作業」だと順一郎さんは話します。順一郎さん自身も、寿司職人の経験を活かし、よりよい下処理の方法を兄弟に教えてきました。

以前は福岡の寿司店などに勤めていた順一郎さん。対馬に戻ってきて、「一層自信を持って、料理を提供できるようになった」と話します。 出漁・水揚げしてから、加工、料理まで…。おいしく提供するための連携プレーに裏付けられた誇りがそこにはあります。

(まいどなニュース・川上 隆宏)