プロ野球ファンをはじめ、スポーツ好きが集まる滋賀県湖南市のお好み焼き店「ビールとハイライト」。「物心ついた頃から阪神タイガースファン」という店主・渡辺新一さん(49)、妻の江里奈さん(33)夫妻といつも一緒にいるのが、サビ柄のロク(メス、3歳)だ。「母が鴨肉を送ってくれんかったら、この子との出会いはなかった…」と江里奈さん。一体何が?

 江里奈さん「ロクと出会ったきっかけは、私の母が3年前、『たまには美味しい鍋でも食べなさい』と上等な鴨肉を送ってきてくれたところから始まります(笑)。すごく美味しかったので、旦那の先輩にもおすそ分けしたんですよ。そしたらその先輩の彼が『めちゃ美味かった!お礼に近江牛の老舗を予約しといたから、お前ら食いに行ってこい』と。で、旦那とその店に行ってご馳走になり、次に立ち寄った店にたまたま里親募集中の子猫が3匹保護されていて、その中の1匹がこの子だったんです」

 新一さん「そのときロクは生後2カ月すぎくらい。指を近づけると、3匹の中でロクだけがすごく元気で人なつこく、僕の指をガリガリペロペロして”連れて帰ってアピール”がすごかったんですよ。昔、実家で可愛がってた猫が亡くなって13年が経ち、そろそろ猫飼いたいなあと思ってたんです。一目惚れですわ。嫁とよく考えて、譲り受けることに決めました」

 江里奈さん「私も実家で猫を飼っていて猫好きです。もし母が鴨肉を送ってくれんかったら、ロクとの出会いはなかったと思うと、本当に運命やったと思います」 

 新一さん「サビ猫って、外国では『べっこう猫』という美しい呼び名があり、幸運をもたらすと言われているそうで、縁起もええなと。名前は、僕が(鉄人と呼ばれた元阪神監督の)金本知憲さんの大ファンなので、彼の背番号6にちなんで、女の子ですけど『ロク』と名付けました」

 「最初は6がつく日だけ店に連れてきてたんですよ。ロクはいつも店の奥で寝ていて、飲食をするカウンターやテーブルに出ていくことはめったにないので、次第に10分ほど離れた自宅から、毎日車で一緒に通勤するようになりました」

 野球談義で盛り上がっていると、特に常連さんで猫好きの方には、遊んでもらえると思って、すり寄っていったりするときもありますが、お客さんの中には猫が苦手な方もおられますし、毛が抜けたりしたら不衛生なので、店内をうろうろさせないように気をつけています。ロクも心得ていて、店奥のベッドで寝ているところをなでてもらうのが好きなようです」


 新一さん「店は2015年11月にオープンしました。僕は子どものころから阪神ファン一筋ですけど、虎ファンしか来ないコテコテの店にはしたくなくて。他球団のファンも大歓迎ですし、社会人野球や高校野球が好きな人も一緒に集まって、ワイワイがやがやと、お好み焼きを食べながら野球談義をしたり、女性一人でも入りやすかったりと、そんな雰囲気の店がこのあたりにあったらいいなと思って。そこにロクも加わり、今では、お好み焼き、野球、猫の黄金のトライアングルが完成しました(笑)」

 江里奈さん「私は野球は全くわからんかったけど、旦那が野球好きなのでだんだん見て覚えるようになりました。金本さんが阪神の監督になって最初の試合も観戦に行きましたよ。甲子園では、阪神のユニホームを着たワンちゃんが散歩しているのをたまに見かけますが、ロクにもどうかと、2年前、ネットで犬用のユニホームを購入し、着せてみたら嫌がらないので、ロクファンのお客さんが来られたときとかたまに着せてます。最近はロクが大きくなって少しきつくなってしまいましたが…。いまは『ロクに会いにきた』という方も増え、自分で自分のご飯代くらいは稼いでいると思います(笑)」

 新一さん「ロクとは一緒に出勤して、帰って寝るので、24時間いつも一緒。仕事でしんどいときも、そばで寝ている顔をのぞきこむだけで疲れがとれます。元気の源ですね。これからも野球談義につきあってもらって、僕らやお客さんを元気づけてほしいです」

(まいどなニュース特約・西松 宏)