よく会社でパワハラにあったという話を耳にします。パワハラというのは何も大声で怒鳴ったり、暴行をするだけのものじゃないんですよね。上司からのプレッシャーもパワハラになります。最近、メーカー勤務の会社員の方から、こんな相談ごとを受けました。業務時間外なのに、上司から業務メールが届いて、困っているというんです。

「返事は明日でいいよ」といわれても…

▽Nさん/29歳

楽しく遊んでいる週末、ゆっくり食事をしている夜、お風呂あがりにのんびりとしている時間、ひと息ついた時に上司からの仕事つづった業務メールが届きます。メールには「確認は月曜でいいよ」とか「返事は明日でいいよ」とか気を遣ったような前置きがあるのですが、受け取る側としては背筋がピーンと伸びてしまうんです。せっかくのリラックスタイム、ささいな業務メールで邪魔しないでほしい!これってパワハラでしょうか?

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近年は、スマホがあれば仕事ができるということで、帰宅後も土日もメールチェックができるようになりました。これが便利のようで、実は部下を苦しめてることも多いのです。

勤務時間外にメールをする上司に「なぜ送るのか」と聞いてみると、こんな理由が返ってきました。

(1)思いついたときに、連絡しておかないと自分が忘れてしまう
(2)常に仕事の事を考えているので、オンオフなんて関係ない

さらに「今日返信くれとは強制してない」「こんなんでハラスメントとか、どうすりゃいいんじゃ!」と反論してきました。

…でもね、これは送り手と受け手で随分違います。

ついつい業務メールで連絡してしまう上司の皆さん! 内容がどうとか、業務をやらないといけないとかの前に、「あなたからメールが来ること」がプレッシャーなんです。業務時間外にあなたからは連絡がほしくないんです。これが部下の本音なんですよ。

とはいえ、実際には毎日顔をあわせる直属の上司に「業務時間外にメールなんぞ、してくるな!」と仁王立ちで宣言などできるわけもありません。そこでわたしは「送る側」である上司に呼びかけたい。会社以外の時間も仕事のことを考えるのは「あなたの自由」だけど、あなたの部下も「仕事のことは考えたくない時間を守る」自由があるのです、と。

立場が違えば考えることも変わります。と、こう書いている私も、かつては業務時間外にメールを送っていました。仕事も休みもあまり関係ないと思っていましたが、時代は令和。考えも変わってきてるのです。

どうしても業務時間外に部下に連絡を送りたいなら、自分と同じように「起きてる時は仕事の事を考えてる」部下宛だけにしてください。

ちなみに「勤務時間外に業務メールを送ることもハラスメントなのか」についての答えは「はい、ハラスメント認定」です。なんでもかんでもハラスメントとくくるのには私も違和感を覚えます。しかし、ハラスメントはいつでも「受ける側がどう思うか」が基本なので、結果としてハラスメント認定せざるを得ません。

こんな事を書くと、世の社長は「そんな事をいってたら会社がまわらない」なんていいたくなるでしょうが、業務時間外にメールを送りたくなるくらい楽しいと思う仕事にするか、メールがきても嫌じゃない関係性にするか、そこを工夫するのも社長や管理職の「腕」じゃありませんか!どうしてもメールを送らないと気がすまない人は、時間指定ができるツールを使ってください。

ハラスメントをむやみに叫ぶのもどうかと思いますが、ハラスメントと気づかず、立場を利用し無神経な態度で接する人もどうかと思います。「相手はこれをしたらどう思うかな?」って、ちょっとだけハテナ?と立ち止まって考えてから行動しても遅くないのでは、と伝えたいです。

ま、実際にこれで訴える人はいないかもしれませんが、ハラスメントって大きなことではなく「小さなことの積み重ね」で「もう我慢できない!」となることが多いっていう現実。心当たりのある上司の方はお気をつけください。

◆くま ゆうこ デジタルハラスメント対策専門家。株式会社マモル代表取締役社長。自身の強みであるWebマーケティングのノウハウを活かし、 いじめや組織のハラスメントを未然に防ぐシステム「マモレポ」を開発する傍ら、学校コンサルティング、いじめ・ハラスメントのセミナー登壇、執筆を行う。