これは私の叔母が経験した話です。叔母は地方にある閑静な住宅街に住んでおり、庭には美しいバラをはじめとした様々なガーデニングがあります。叔母はこれまでご近所トラブルとは無縁であり、子育てが終わってからも穏やかに過ごしてきました。

しかし、祖母の隣の家に親子連れが引っ越してから、状況が一変します。5歳と3歳の小さな子供を連れたササキさん一家が引っ越してきたのです。その一家が引っ越してきた当初は、しっかりと挨拶もしてくれてとても好印象だったそうです。

叔母とササキ家は間取りがほぼ一緒で、10坪ほどある大きな庭もありました。庭と庭の間には壁があったものの、過去に起きた地震が原因でグラつくようになり、5年ほど前から簡易的なフェンスに叔母がリフォームしていました。しかし、この簡易フェンスで分けられた庭をめぐって、近所トラブルが起きてしまいます。

それはササキ家が引っ越してきて約1カ月ほど経った時のこと。気づくとササキ家は庭中に蚊取り線香を焚くようになり、その煙が祖母の家にも入ってくるようになりました。肺に疾患のある叔母は、その蚊取り線香の煙の臭いに耐え切れず、やんわりとササキ家に蚊取り線香を止めるようお願いしたと言います。

しかし、いざ話をしてみると、ササキさんの子供二人は虫アレルギーであり、蚊に刺されただけで肌が大きく腫れ上がってしまうとのこと。そのため、蚊取り線香を庭にたくさん焚かなくてはならない、ということでした。

そこで祖母はつい、

「蚊取り線香でなくても殺虫剤などを使って蚊を退治する方法もありますよ」

と提案してしまったのです。それを聞いたササキさんは

「わかりました。明日から行ってみます」

と言って、蚊取り線香を焚かない約束をしてくれました。

しかし、これが悲劇だったのです。ササキ家は早速「土に撒くタイプの殺虫剤兼除草剤」という液体を購入し、庭に散布したといいます。簡易フェンスで覆われただけの叔母の家にも、その除草剤は染み込んできました。そして、雨がたくさん降ったのを機に、その除草剤は大量に叔母の庭に染み込み、丹精込めて育てた花がすべて枯れてしまったのです。

さすがにショックを受けた祖母は、ササキさんに抗議しに行きました。しかし相手は

「うちの子は虫アレルギーなので仕方がない」

の一点張り。それどころか

「蚊取り線香をやめたのに、どうして文句を言われる筋合いがあるのか」

と怒ってきたそうです。

叔母としては

「それだけ肌が弱い子供がいるのなら、どうして庭がある戸建てを選んだのか。なぜマンションに住まないのか」

と嘆いています。肌の弱いお子さんを持ち、虫に対して過敏になるのは分かるのですが、隣の庭のガーデニングをすべて枯らしてまで殺虫剤を撒くのは考えものです。

叔母はその後、泣く泣く自腹で隣の庭を隔てる壁を建て、またガーデニングを楽しめるよう、新しい土にせっせと植え替えています。

(まいどなニュース特約・島田 志麻)