新型コロナウイルスの影響で、数々のコンサートが中止になってしまった。文化芸術を扱う施設やコンサートホールから賑わいは消え、再びスポットライトがあたるのを静かに待つ日々が続いている。

 そんな状況下でも「家で一緒に音楽を楽しんでほしい」という思いから、兵庫県立芸術文化センターが専属楽団の兵庫芸術文化センター管弦楽団(PAC)による「すみれの花咲く頃」の演奏動画をアップロードした。この動画に合わせて、視聴者は誰でも自由に歌や楽器をつけ、楽団が編集を行うことによって、オーケストラと「共演」することができる。その名も「すみれの花咲く頃プロジェクト」だ。

 オーケストラによる演奏動画では、まず同センター芸術監督で世界的指揮者である佐渡裕さんが登場。

「このセンターは、人々の心の広場として、15年間やってきました。でも、今はオーケストラもこの舞台の上で集まることはできません」

「今から僕の指揮に合わせて、PACのメンバーが自分の場所で演奏してくれます。これをご覧の皆さんも、ぜひ自宅で楽器を演奏したり、歌ったり、手拍子をしたり、踊ったり、何でも良いので、自分の動画を送って、参加してください」

 動画内では、楽団員が各々の自宅で演奏している様子が映され、まるで合奏しているように仕立て上げられている。この演奏と「共演」したい参加者は、同じように演奏動画をアップすれば、編集が施されこのオーケストラの一員になることができる。

 「ただ見たり聴いたりするだけでなく、『ともに演奏する』という体験型にすることで、より一緒に楽しむことができるのではないか、と考えました」(楽団プロデューサー・横守稔久さん)

 演奏作品は、「すみれの花咲く頃」。同オーケストラの演奏会で、何度もアンコール曲として取り上げられていたものだ。

「原曲は、『ライラックの花が再び咲くとき』。ライラックとは春の花です。この事態が収束したら再び音楽を一緒に楽しめるように…というメッセージも込めています」(横守さん)

 4月20日に動画の募集を呼びかけてから、すでに多くの動画が集まっているという。コーラスとダンス、また楽器演奏によるものなど、カテゴリに分けて共演動画がアップロードされている。アマチュアの音楽愛好家からプロの演奏家まで、老若男女問わず多くの参加者が動画に登場している。

 横守さんは、「オーケストラは、多くの演奏家が集まって演奏して成り立つもの。今は動画などを活用できるので、多くの人と一緒に音楽を楽しめれば、と思っています」とし、「まだまだ参加者は募集しているので、たくさんの方の動画をお待ちしています」と呼びかけた。

(まいどなニュース特約・桑田 萌)