新型コロナウイルス感染拡大の影響で休業している神戸市内の4ライブハウス(CHICKEN GEORGE / VARIT. / 太陽と虎 / ART HOUSE)が、インターネット上に架空のライブハウス「ジャッジメントKOBE」を“開店”した。4月14日に予定していた無観客の音楽配信フェス「ライブハウスジャッジメント in KOBE」無念の延期決定から半月。神戸のクロスメディアイベント「078KOBE」とも連携し、家にいながらにしてライブハウスを体感できる動画の配信などを通じて、持続可能なエンタテインメントのあり方を模索、実験、そして実行していく。

■渾身の企画が無念の延期…それでも前へ

もともとは、ライブのキャンセルが相次ぐ事態に危機感を募らせたVARIT.代表の南出渉さんが3店に呼び掛け、「神戸のライブハウスから面白いことを発信しよう」と「ライブハウスジャッジメント in KOBE」を企画したのが発端。神戸や関西ゆかりのロックバンド、アイドルなど計26組が4会場で行う無観客ライブ映像を配信する予定だったが、政府の緊急事態宣言や地元兵庫県の休業要請などを受け、開催前日に延期を決めざるを得ない事態に追い込まれた。

普段はライバル関係にある4店が、逆境をはねのけるべく、垣根を越えて準備を進めてきただけに、「直前での決断は本当に苦しかった」と南出さん。だが中止にしようとは誰も考えていなかったといい、「暗くなっても仕方がない。『絶対にやろう、楽しみにしてくれていた人たちの思いに応えよう』と、4店の結束はさらに強まりました」と振り返る。

■ライブハウスが存続できるリミット迫る

延期後の日程は6月21日に決まった。その頃に新型コロナウイルスがどのような状況にあるのかは見通せないが、南出さんは「コロナ禍が終息していようがいまいが、そもそも6月末の時点で営業を再開できていなければ、ライブハウスは潰れる」と言い切る。

「これがギリギリのタイミング。7月開催では、もう間に合わないんです」

架空のライブハウス「ジャッジメントKOBE」は、この6月21日を見据えて生まれたプロジェクト。ネット上に4店のノウハウを結集した特設サイトを立ち上げ、無観客のライブイベントなどの映像を配信していく。4店の動きに注目していた078KOBE実行委員会や神戸市なども加わった「協創プロジェクト」という位置づけだ。

緊急事態宣言中は、ミュージシャンが自宅などでグリーンバックを背景に演奏し、自身で撮影。その映像データに合わせ、各ライブハウスのスタッフがリアルタイムで照明演出を施すことで、まるでライブハウスで演奏しているように見える映像に仕上げる。

新型コロナの状況次第だが、休業要請が解除された後は、4店からも無観客ライブを配信。収益化も図り、若手ミュージシャンやスタッフの育成、雇用の確保にも努める。仮に新型コロナ禍が終息しても、当面は以前のような形での公演はできないという現実を受け入れた上で、神戸の音楽文化の危機を乗り越えるために、知恵と力を振り絞っていく試みだ。

■「みんなで生き残る」ため、新しいエンタメ提示

プロジェクトの開始に当たり、南出さんら4店の代表者は「現在3密と言われるライブハウス4店舗(3密×4=12密)と078KOBEが密に連携(計13密)し、神戸の音楽文化の拠点存続の危機を克服する為、実施実験を繰り返し完成させる新しいエンターテイメントで、必ずみんなをちょっと楽しくさせることを約束します」と声明を発表。“実験都市神戸”からの「新しい価値の創出にチャレンジしていく」と前を向く。

南出さんは「ライブハウスにとっては本当に危機的な状況だが、そんな局面で4店が同じ気持ちで進むことができているのが心強い。なんとか、みんなで生き残りたい」と力を込める。

(まいどなニュース・黒川 裕生)