公益財団法人日本郵趣協会(東京都豊島区)の公式ツイッターアカウント(@kitteclub)が発表した1枚の貼り絵作品が話題です。疫病退散のご利益があると噂のアマビエをモチーフにした作品は、使用済み切手を使った同協会ならではの超大作。しかし、ある理由からネット上をざわつかせているんです。その理由とは…。

作者は副理事長

 同協会がツイッターに投稿したのは4月30日の朝。
 <使用済み切手5種類で、疫病退散にご利益があると信じられた妖怪「アマビエ」を制作しました。新型コロナウイルスの収束を願った、切手はり絵です>

 投稿後、ツイッター上には「今まで見た中で一番怖い」「恐ろしい」「予想外に怖い」「コロナ退散しそう」といった感想が飛び交っています。この反応、作品の作者である同協会副理事長の金川博史さん(69)はご存じなのでしょうか。ショックを受けられているのではと心配になり、電話で話を聞きました。

 ーー切手貼り絵のアマビエが「怖い怖い」と言われています。

 「疫病退散にかわいいのはダメでしょ」

 ーーということは狙い通り? 安心しました。

 「みなさん大変かわいらしいアマビエの作品をあげております。切手のアニメシリーズの第9集、ゲゲゲの鬼太郎の中にもアマビエがかわいく描かれています。しかし、やはり疫病退散の妖怪は怖い方が効果があると思いましたので怖くしました」

使用した切手は250枚

 切手貼り絵歴約30年で、教室の講師も務める金川さん。アマビエが話題になっていることを知り、得意の切手貼り絵で作品を作ることを思い立ちます。縦35センチ、横25センチの紙に鉛筆で下絵を描き、約3時間ほどでスムーズに完成しました。

 注目が集まるのが、アマビエの両目。能面の絵柄が横向きに2つ並べられて表現されたまなざしは、目が合うと石にされてしまいそう…。

 「目玉用には70円切手『能面』を2枚使いました。これが怖くなるんです。怖くしなきゃダメだから、最初から決めてました」

 金川さんの作品に不可欠なのが「いらなくなった使用済み切手」。収集家やリサイクル活動から不要とされたものを購入し、色分けし大量に常備しているそうです。作品を作る前にはどの切手を使うか頭の中でイメージ。以前、節分の鬼の眼球に能面柄を使ったところ、迫力が出た実績があったことから、今回も「目玉には能面」と迷わず選んだといいます。

 ーー今回使用した切手の枚数は?

 「5種約250枚使いました。アマビエの顔と手には400円の『天灯鬼』を約45枚、うろこには300円の『仏頭』を約80枚、目は70円の『能面』を2枚、髪の毛には70円の『法隆寺笛吹飛天』を約120枚、口と落款用には50円の『弥勒菩薩像(赤)』を3枚です」

 ーー作者の印、落款まで切手を使っていたとは驚きです。

 「自身の名前の『史』の文字を切手をちぎって貼りました。アマビエの鼻や、顔のしわを表現した線は、切手に押された消印です」

友人の驚きの行動とは

 随所にベテランの技が隠された逸品。完成後、作品写真を自身のフェイスブックに投稿したところ、友人の一人がさっそく印刷し、自宅の玄関前に張り出したそうです。神社の護符並み。友人の予想外の行動に驚きつつも「疫病早く終わってほしい! コロナやっつけるぞ! という気持ちで作りましたので」と早い終息を願います。

 5日現在、作品名は未定だそうですが、「付けるなら『怖いアマビエ』かなあ」。将来的には、同協会事務局の入る「切手の博物館」に展示したいと語る金川さん。新型コロナウイルスが終息したら、お礼参りしてみたいですね。

(まいどなニュース/神戸新聞・金井 かおる)