日本ボクシング連盟前会長の山根明さん(80)が立ち上げた新団体「ワールド・ヤマネ・ボクシング・チャンピオンシップ」(WYBC)の世界ヘビー級戦がいよいよ迫ってきた。5月31日、京都KBSホールで無観客開催。それに先立ち、10日には自ら作詞を手掛けたCD「男山根が風を切る」が発売される。コロナに負けず”歴史に残る男”は健在だ。

 コロナ禍の中、山根さんは素直にステイ・ホームを実行している。スマホの着信音が「ゴッドファーザー愛のテーマ」なのは良く知られており、いまは自宅で好きな映画や音楽を楽しんでいる。外出は行きつけの喫茶店でのモーニング。それと愛犬トイプードル、リッチとチャコとのお散歩だ。

 「適度な運動は必要やさかい、天気のいい日はうちの近くを歩いてますよ。いい息抜きにはなってます。じっとしているのができないタイプやから、そらしんどい。みなさんもストレスがたまってるでしょう。だけど、いまは1人1人が耐えるとき。テレビを見てても暗い話ばかりですが、他人を攻撃したりせず、もう少しの辛抱です」

 実際のところ、コロナの影響は甚大。夫人が今里で営むナイトクラブも4月4日から休業を余儀なくされている。6000万円のローンを組んでおり、毎月の固定費の支払いも大変だ。

 しかし、人生の荒波を乗り越えてきた山根さんは、これしきのことでめげない。4月5日に放送された朝日放送「山里亮太のまさかのバーサーカー」では映画「ロッキー」のパロディーを熱演。生卵を割って、飲み干すシーンではNGを出されながらも何度もゴクゴクと飲み込んだ。フットワークの練習のため、ニワトリを追い詰める場面では用意されたニワトリが元気なく、あっさりつかまえたが、80歳とは思えない体力をみせつけた。

 極めつけは井岡ボクシングジムで撮影されたボクシングシーン。「ワシを何歳やと思ってんねや?」と言いながらサンドバッグを叩き、最後は筋肉隆々の黒人ボクサーと対決。闘争心が甦ったのか試合後は「40年ぶりくらいに試合、したなったわ」と軽口を飛ばすほどだった。

 さらに、この10日には待望のCD「男山根が風を切る」を発売する。担当したのは作詞。もちろん、作詞は初めて。山根さんの「人生観」がちりばめられ「元気が出る曲」と自負する。今回はプロの歌手が歌っており、山根さんの歌手デビューは幻となったが、実際に聴いてみると「あしたのジョー」を歌った尾藤イサオのような響き、なかなかいい曲だ。山根さんは「ぜひ、多くの人に聴いていただきたい」と話す。

 もちろん、本職のボクシングも忘れていない。自身が立ち上げた団体、WYBC世界ヘビー級王者・高橋知哉(日本=BONEC RASH)の初防衛戦を5月31日に京都KBSホールで無観客開催。試合の模様はネット配信する予定だ。

 「世間はとんでもない事になっておりますが、こんな時だからこそ夢と希望を与えたい」

 対戦相手は、山根さんが選び抜いた選手3人にオファー。ブラジル人選手、ペルー人選手2人とは交渉も終わり、すでに来日している。山根さんは「高橋選手にはプレッシャーがかかると思うが、コロナを吹き飛ばすような熱い男の戦い見せてほしい」と期待する。

 初防衛戦に臨む王者の高橋は「今回、急きょ試合も決まりましたが、世間は暗いニュースばっかりでよくない方向に進んでるような気がする。でも、こんな時でも男は止まれない。熱いファイトを見せて、元気を与える試合をしたい」と意気込んでいる。

(まいどなニュース特約・山本 智行)