新年度が始まり2ヶ月以上が経ち、多くの大学でオンラインによる授業が実施されている。本来のキャンパスライフの醍醐味は、同じ大学でともに過ごす仲間との交流や学びが得られることだが、それが難しい。中でも、「同期と直接会ったことがない」と嘆く新入生は多い。

 そんな中、学校法人瓜生山学園京都芸術大学の新入生の有志メンバー11人が、自主企画としてアニメーション作品を制作。一度も会うことなく、完全リモートで作品を完成させた。

 作品のタイトルは、「ぼくらのみらい」。舞台は、「ある大きな病」により衰退した未来のとある街。「感染症が流行する前のきれいな街をもう一度」とある姉弟がアマビエを呼び寄せタイムスリップする物語だ。姉と弟は、アマビエとともに人々の意識をより良い方向へと持っていき、平和な未来へと変えていく。

 自粛時期に気が緩んでしまった人への意識啓発はもちろん、「自粛警察」といった過度に自粛を求める人々への警鐘や、医療従事者やスーパーなどで勤務する人々への感謝の意も描かれた。

 この企画が立ち上げられたきっかけは、大学主催のオンラインの「お茶会」。最初は自己紹介などのたわいない会話が繰り広げられ、意気投合し、自主的なお茶会へと発展。徐々に「この状況でも、表現者として何かできることはないか」と意見を交わすようになったという。
「ちょうど今、SNSで『アマビエチャレンジ』と題して絵を発表するクリエイターも多いんです。だから僕たちもやろう、ということになりました」(メンバー・佐野峻生さん)

 アニメーションというスタイルに決まったのは、「多彩な学科の学生が集まっていて、みんなの能力を生かすことができるものだから」。企画・制作を行いながらも、もちろん直接顔を合わせることはない。

 学生たちの専門分野は、美術工芸、マンガ、キャラクターデザイン、情報デザイン、環境デザイン、俳優、演技・演出…とさまざま。しかし、「それぞれの専門の枠組みを超えて、役割を分担していました」と話す。「俳優コースでない学生でも声は担当していましたし、絵が得意な人は絵を描いて、そうでない人はストーリーを組み立てる。学科やコースを横断し、とても楽しかったです」

 作品は3週間というスピードで完成。特に苦労した点について、「映像編集や構成する作業が本当に大変だった」と佐野さん。
「音楽を挿入するタイミングも、通話サービスの画面共有機能を使って動画を流して、リアルタイムで『もっと早く入れて!』などと意見を言い合っていました」

 入学してまだ2カ月、早くもチームで作品を完成させた11人。チームの今後の活動について、「社会に何かを投げかけるような作品を作りたい。今はSNSで誹謗中傷などが問題になっていますよね。そういったことをテーマにしたりしています」。若き表現者に期待が高まる。

(まいどなニュース特約・桑田 萌)