生後間もない子猫2匹が、自転車の前カゴに置き去りにされた。母猫が帰ってくるのを待ったが、人の気配を感じているのか寄り付かない。あきらめて子猫を保護すると、2匹は元気なくグッタリしている。翌朝、病院に連れて行くと、2匹は自力でミルクを飲むこともできず、そのまま入院することになった。

警戒心の強いメス猫

 2019年4月、地域猫活動のサポートをしていた地域で1匹のメス猫が捕獲できずにいた。警戒心がとても強く、色々な方法を試みたが異変を感じて近づこうとしない。そこで猫の捕獲専門業者に捕獲を依頼した。気づかれないようにトラップを設置し、メス猫が現れるのを待ったが姿を現さなかった。業者も驚くほど警戒心が強い猫だ。

 そんなことが数日続いたある深夜、メス猫が子猫を出産したと地域住民から連絡が入った。マンションの駐輪場で、自転車の前カゴに子猫と一緒にいるとのこと。慌てて駆け付けると、母猫は子猫を置いたまま去ってしまった。

 自転車の前カゴをそっと覗き込むと、子猫2匹が確認できた。目も開いておらず、まだ産まれて数日のようだ。おそらくこの数日姿を見せなかったのは、警戒心もあるが子猫をどこかで出産していたのだろう。

 子猫を保護することを考えたが、この地域は住民が管理している安全な地域である。未熟児に人手を貸して危険な目に遭わせる可能性もあるため、母猫にある程度まで育ててもらうことを考えた。

 一度カゴに入った子猫から離れ、母猫が帰って来るのを待った。駐輪場の外に隠れて待つが、猫の気配はない。しばらく待っても母猫は帰って来ず、生後間もない子猫をそのまま置くことは危険であるため、保護することにした。

 手に取ってみると本当に小さく、ぐったりとしていて元気がない。深夜で近くの動物病院が開いておらず、知り合いのベテランボランティアに相談し、朝まで様子を見てもらうことにした。

命名由来は元号が変わったタイミング

 気が付くと日をまたいでおり、4月から5月になっていた。そう、19年5月1日は元号が平成から令和に変わった日。令和になってすぐ保護したことから、子猫の名前をレイ(令)とカズ(和)にした。

 朝を待って、動物病院の午前診察でレイとカズを診てもらった。自力でミルクを飲むことができず、そのまま入院。病院ではカテーテルを使ってミルクを与えてもらい、自力でミルクを飲むことがでるようになったタイミングで退院した。2匹ともオスで、捕獲できなかった母猫譲りの可愛い顔をしている。その顔はまるで天使のようだ。

 カズは元気いっぱいだが、レイは少し体が弱い。ミルクをあまり飲もうとせず、2匹には次第に体格差が出てきた。仲が良く一緒に遊ぶが、レイがカズに押しつぶされてしまい、うまく遊ぶことがでなかった。そのため2匹は別々のサークルで育てていた。

 ある日レイの体調が優れず、動物病院へ連れて行くと肺炎かもしれないと言われた。レイはまた入院することになった。しかし大事には至らず、すぐ退院することができた。2匹はその後すくすくと育ち、ある程度の大きさになると同部屋になった。またほぼ同じ月齢の友達もできた。レイはずっと赤ちゃんぽい性格で、カズは名前を呼ぶと胸に走って飛んでくる賢い子だ。

 レイカズ兄弟の里親募集を開始すると、すぐ家族に迎えたいと連絡が入り、正式譲渡となった。というのもレイという名前は息子さんと同じ名前で、強い縁を感じたのだという。名前を呼ぶ時にややこしくなるため「名前を変えなきゃね」と言っていたが、そのままレイとカズになった。令和になってすぐに救われた小さな命。仲良しの2匹は兄弟で迎えられ、今も幸せに暮らしている。

(NPO法人動物愛護 福祉協会60家代表・木村 遼)