鹿児島県枕崎市の「エモすぎる古民家物件情報」がSNSに投稿され、注目を集めている。1904(明治37)年に開局し、1981(昭和56)年に閉鎖された旧鹿籠(かご)金山郵便局だ。昭和初期に建て替えられたという、ちょっと「となりのトトロ」のサツキとメイの家を思わせる住居付き局舎は、レトロな時代の面影を色濃く残す貴重な産業遺産。これがなんと、約100坪の土地付き100万円で売り出されたというから驚きだ。「どなたかリノベして住んでみませんか!?」と呼び掛ける同市の地域おこし協力隊、りっか@REHOME DELI.さん(@licca_898)こと篠塚立夏さんに詳しい話を聞いた。

明治政府がいち早く郵便制度を普及させるため、地域の名士らに土地と建物を無償提供させ、郵便事業を委託した「三等郵便局」。築100年を超える旧鹿籠金山郵便局もそのひとつだった。

「とにかくレトロかわいい!エモすぎます」と興奮を抑え切れない様子の篠塚さん。実際に物件を見た印象を尋ねると、「淡い水色と緑色の間の色に塗られた内装が、派手すぎず、上品でありながらチャーミングな印象。アーチ型の窓口や、窓の旧式の鍵(丸球捻締?)など細かなアンティークをはじめ、今の時代にはない趣のある雰囲気に心を奪われております」と大変熱い答えが返ってきた。

三面ガラス張りのため自然光がたっぷりと射し込むのも魅力だといい、「激しい雨の日に見に行ったときも、郵便局部分だけはとても明るかったです」とのこと。「落ち着いた喫茶店や雑貨店、アトリエ・ギャラリー、スタジオなんかにもぴったりなのでは。ご購入者さまにはぜひ、現状の素敵なところは残しつつ、元々は人々が出入りしていた建物として再生させてあげてほしいです」と語る。

篠塚さんによると、1981年の閉鎖後も数年間は所有者が居住していたという。しかしその後は年に数回、草刈りなど周辺の管理をする程度で、長く空き家状態に。老朽化が進んでいるため、少なくとも300万から400万円程度の改修費用が必要とみられる。

場所は枕崎市の中心市街地から車で15分ほどの山間部(金山町)。ボランティアガイドから頼まれて情報発信に協力している篠塚さんのところには、すでに内見などの問い合わせが来ているそうだ。

そんな篠塚さんは1991年、茨城県生まれ。横浜で育ち、高校時代はスイスで過ごした。広告代理店勤務を経て、「海と山に囲まれた暖かい場所で田舎暮らしをしてみたい」という夢を叶えるため、2019年4月、縁もゆかりもない枕崎市に移住した。

「枕崎は、かつお節生産量日本一のまちとして知られているので、港町のイメージが強いかもしれませんが、この物件のように、実は山側にも美しい景色や歴史遺産などの魅力がたくさんあるんですよ」と篠塚さん。「これも何かの縁ですので、四季折々さまざまな表情を見せる枕崎にぜひ遊びに来ていただけると嬉しいです」と話している。

篠塚さんは“よそ者目線”を活かし、枕崎の魅力をInstagramで発信中。また、新型コロナウイルスで厳しい状況にある生産者を支援しようと、ECサイト「REHOME DELI.」を始めたばかりで、「気軽に帰省できなくなってしまった今こそ、地元の商品を購入することでふるさとを応援するお手伝いをしたい」と話す。今後は枕崎だけでなく、さまざまな地域の商品を扱うべく、準備を進めているという。

(まいどなニュース・黒川 裕生)