大阪の穴場スポット「湊町リバーサイド」(浪速区)にカラフルなデザインのキッチンカーや大道芸人がお目見えした。コロナ禍の中、密にならない屋外スペースを利用して、夜の街の賑わいを取り戻そうという試み。うまくいけば、飲食業をはじめ、農水産業やサービス業を救うことにもなる。10月からの本格的活動に向けたテスト開催にこっそり潜入してみた。

 爽やかな夜風が吹き抜ける中、八角形で知られる複合施設「なんばハッチ」のたもと、道頓堀を見渡せるイベントスペースにド派手なキッチンカーが集まった。運営するのは大阪府内の事業者。程よい”車間”を取り、ロコモコ丼、ホットドック、唐揚げ、タピオカ、バナナジュースなどを販売していた。

 今回の試みは、新型コロナウイルスの影響で打撃を受けた業界が助け合い、そこにエンターテインメントを融合させることで再び「ナイトタイムエコノミー」を活性化させようとするもの。柱は3つあるという。

 そのひとつは、コロナで営業が困難になった飲食店経営者にもう一度チャレンジするチャンスを与えること。さらに飲食店が売り上げを落とし、そのことで売れなくなった大阪産の食材を農家や漁師さんたちから直接買い上げ、キッチンカーで販売、おいしくいただいてもらう。

 最後はイベントがなくなり、活躍の場を奪われたパフォーマーやモデル、タレント、司会者、芸人、歌手といったエンターテイナーたちに仕事場を提供。安心して、たくさんのお客さんに見てもらい「投げ銭」で少しでも稼げる場所にしてもらおうというものだ。

 こんな企画を考えたのが、これまた求人募集ニーズが減り、売上が激減した採用支援会社「採用戦略研究所」(大阪市北区)というのがユニークなところ。郷戸理永代表が言う。

 「弊社の主要な取引先のサービス業の方々はどこも採用どころじゃないというのが本音です。そんな中、コロナ禍で売り上げが落ちた業種のみなさんと力を合わせて新しいナイトカルチャーを創り上げる。そんな場所になれば、と考えました」

 なかでも、キッチンカーによる移動販売は飲食業界の救世主とまでは言わないまでも、ささやかな希望にはなりそうだ。各自治体も開業に向けた助成金制度を充実させるなど、サポートに力を入れている。

 今回のイベントに参加し、ガパオライスを提供していた事業者は大阪府下でラーメン店を経営しているといい「お客さんを待っていても仕方ない。こちらから仕掛けていかないと。こういう場があるのはありがたいし、予想以上に反応が良かったので、次も機会があれば積極的に参加したい」と笑顔で話していた。

 夜の帳が降りたころには、ふだんは人通りが少ないエリアも結構な賑わいに。灯りや音楽、おいしい匂いにもに誘われて予想以上の人々が集まって来た。そこで大道芸人によるジャグリングやカードマジックなどが繰り広げられ、お祭りムードになった。

 さらに、船着き場にはクルーザーも登場。飲んだり食べたりしながらモデルによる案内で道頓堀ナイトクルージングを楽しむ企画も盛り込まれていた。

 「キッチンカーを日替わりで並べて、そこにエンターテイメントを融合させ、密にならない夜の街づくりを目指したい。本番にはパブリックビューイングやイルミネーションも見られるように一段と楽しい夜を演出します。コロナ時代の夜の新定番になれば」と郷戸代表。大阪人の愛と心意気を感じさせるイベントは10月10、11日スタート予定だ。

(まいどなニュース特約・山本 智行)