自宅ガレージの2階にある倉庫で見つけた子猫は、手の平にすっぽり収まるくらい小さな猫だった。きょうだい猫もいたが、1匹は死んでいて、もう1匹も保護した後に息絶えた。政宗くんと名付けられた子猫も生きているのが不思議なくらいだったが、たくましく成長した。

小さな野良猫の子猫

2005年7月、朝から太陽がギラギラ照り付ける暑い日、大阪府在住のAさんが、自宅ガレージ2階の倉庫に行くと、とても小さい3匹の子猫がいた。母猫の姿は見当たらず、産んだままどこかに行ってしまったようだった。まだ手のひらにすっぽり収まるサイズだったが、Aさんが驚くほど大きな声で鳴いていた。

1匹は既に死んでいて、残された2匹を保護。ところが1匹は数日後に息が途絶えた、1階に降りてきていた子猫がなんとか生き延びた。

当時のAさん一家は犬派だった。ただ、必死で生きる姿に心を打たれて里子に出すことは考えられなくなり、飼うことにしたという。隻眼だったので、伊達政宗にちなんで「政宗くん」と名付けた。

ミルクを飲んだ!

はじめて政宗くんを見た時は、今までに目にしたことがないほど、あまりにも小さくて驚いたという。まぶたは膿がたまってぱんぱんに腫れていて、出目金のようになっていた。左目は治ったが、右目はいまも瞬膜が下りている。獣医師に診せると、歯が生えそろっているので生後1カ月くらいだと言われたが、体重はたった140gしかなかった。脱水と大量のノミによる貧血、極度の栄養失調。かなりの重傷で、獣医師は生きているのが不思議だと言った。

「とにかく食が細くて、スポイト1本分のミルクを飲みほした時、私と母は泣いて喜びました」

とにかく食べる量が少なく痩せていたため、1歳になるまでフードのほかに猫ミルクも与えていた。

他の猫のお兄さんのよう

Aさんは猫アレルギーだったので、政宗くんの世話はじんましんとの戦いでもあった。今もたまにじんましんが出るが、まめに掃除をすれば生活に支障がない程度まで治まっているそうだ。

すでにおばあちゃんになっていた先住犬のヨークシャーテリアは、生まれて初めて猫を見たので「なんなのこの子?!」という感じだった。政宗くんは“お姉ちゃん”の様子を見て、お手とオスワリを覚えた。

こんな感じでしばらくは、政宗くんが弟の立場だった。しかし、Aさんが2匹目の保護猫、天太くんを迎えると、政宗くんは初めて見る自分より小さな存在に戸惑い威嚇した。しかし、一緒に暮らすうちに、だんだんお兄ちゃんらしくなり、天太くんの遊びに付き合うようになった。その後、毎年のように現れる新しい保護猫を迎えても威嚇することはなく、ちょっかいかけられても怒らなかった。

 現在、Aさんは7匹の保護猫を飼っているが、お兄ちゃんとしてみんなを見守り、他の猫からも慕われている。家族の誰かが具合が悪い時は、そっとそばに寄り添ってくれる心優しい子なのだという。

(まいどなニュース特約・渡辺 陽)