「鬼滅の刃」(集英社)という千載一遇のチャンスをものにできない日本の炭焼き業者たちに奮起を促すSNS投稿が大きな注目を集めている。

件の呼びかけを投稿したのは製炭業の盛んな岩手県にお住まいで「北上山地イチのホラ吹き」を自称するすぽんちゅさん。たしかに「鬼滅の刃」の主人公で子ども達を中心に絶大な人気を集めるキャラクター「炭治郎」はその名の通り炭焼きの子という設定で、作品中でも炭を売り歩く様子が確認できる。しかも今は空前のバーベキューブーム…これに乗じてうまくPRすれば炭の売上は飛躍的に増大する可能性があるだろう。

「鬼滅の刃とコラボすればなんでも儲かる風潮さえあるのに、 
日 本 の 炭 焼 き た ち は 何 を や っ て る の か 。 
オイルショック以来の大チャンスなのに鬼滅の刃と何故コラボしない。
「君も炭治郎みたいな炭焼きになろうぜ!」って誘えよ。今こそ立てよ日本の炭焼きたち。」(すぽんちゅさんのツイートより)

すぽんちゅさんの投稿に対し、SNSユーザー達からも

「これは超いいアイディア。日本の絶滅しかけてる炭焼きが助かる&日本の荒れ果ててる炭焼き用の雑木山が助かる。戦後ぐらいまでは炭焼き用に刈ってたけど、戦後放置されて荒れてる山が多いんですよ(自分の家の山を見上げながら)子供たちの将来なりたい職業一位をyoutubeから炭焼きへ!」

「岩手県内で木炭関連の商品を販売しようとした会社の人が、木炭協会みたいなとこに相談に行ったら、ほぼ門前払いだった…という話を聞いたことがある。業界自体が、高齢で頭が堅い人ばかりらしい」

「そういや昔「びんちょうタン」と言うアニメがあって和歌山県のみなべ町とコラボしてたっけな。 鬼滅の刃もこの町とコラボして備長炭を売れば良いのに。」

「そういうちゃっかりした調子の良いところが、職人さんにはないんだろうなぁ…営業さんて必須なのね。」

など様々なコメントが寄せられているが、すぽんちゅさんは一体どのような意図があってこの呼びかけを投稿したのだろうか?ご本人にお話をうかがってみた。

中将:アカウントを拝見しましたが、すぽんちゅさんは日本の炭焼き業界の事情にくわしく、その前途を憂慮されているようですね。今回の呼びかけを投稿したきっかけをお聞かせください。

すぽんちゅ:これだけ「鬼滅の刃」の人気が高まってるのに、誰も炭治郎の家業である「炭焼き」について掘り深めようとしていなかったからです。

中将:たしかに「鬼滅の刃」が好きでもそこに興味を持ったという声はあまり聞きませんね…。
しかし今回のすぽんちゅさんの投稿に対しては炭焼き業者の関係者を含め、多くの方からの声が寄せられています。反響への感想をお聞かせください。

すぽんちゅ:炭焼きは近年まで生産者と消費者の直接取引がNGだったこともあり、儲からない大変な仕事だとはわかっているのですが、これを機会に奮起してくれる業者があらわれることを願っています。

また今は関係なくとも、先祖や家族が炭焼きだった人は沢山いるはずです。そんな人達が「鬼滅の刃」ブームを前にして、かつて自分の祖父母たちが炭焼きであった事実と「鬼滅の刃」とを全く関係ない事象として捉えているのはもったいないです。「鬼滅の刃」は決してただのフィクションではなく、君たちの祖父母たちの青春時代を描いた作品なのだと、誰かが伝えるべきだと思います。

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2016年から連載が始まった「鬼滅の刃」だが、メディアミックスによる本格的なブームを迎えてからはまだ日が浅い。これから炭治郎の家業である炭焼きという職業に対してもっと関心を持つ人が現れればいいのだが。

(まいどなニュース特約・中将 タカノリ)