「ガスコンロの火を消し忘れた」「上着に火が燃え移った」。そんな怖い話を耳にすることがあります。単なるもの忘れだけではなく、年齢とともに見えにくくなる色があることをみなさんご存じでしょうか?

 年齢とともに目の中にあるレンズが濁ってくる「白内障」、これはだれにでも出てくる変化です。病名に「白」とついていますが、実際は黄色く濁ってきます。つまり白内障がすすんでくると、黄色のフィルターを通して見るようなイメージになるのです。

 黄色のフィルターがかかると「黄色と白」の区別がつきにくくなるのはもちろんですが、青系の色の見え方が悪くなってきます。冒頭のガスコンロの炎は淡い青色なので、識別しにくくなるのです。そのためコンロをつけっぱなしになっているのに気がつかなかったり、思っていたより炎が大きく洋服に燃え移ってしまうような事故が起こるわけです。

 本人が色の見えにくさに気がついていないことも多いので、「黒と紺の見分けがつかず左右ばらばらの色の靴下をはいている」「50円玉と5円玉を見間違える」など気がついたときは、ご家族が指摘してあげたほうがよいでしょう。また健康な人でも色を認識する細胞は暗い場所では働かないので、ある程度照明を明るくしておくことも大切です。

 いよいよ白内障が進行して視力自体が下がってきたときは、手術を考えるタイミングです。白内障の手術をすると人工のレンズになりますが、黄色い濁りがとれるため、術後の色の見え方が変わったとおっしゃる方も多いです。

 色の見え方は年齢とともに悪くなっていることは、自覚しておきましょう。きちんと検査で調べたいという場合は、眼科にある色覚検査の表で調べることもできますのでご相談ください。

◆窪谷日奈子 医療法人社団吉徳会・あさぎり病院・眼科医長。眼科専門医。