いなりちゃんは野良の子猫。公園で遊んでくれた男の子の家までついてきたのでボランティアが保護した。ボランティアのYさんには懐いたが、里親希望者が来ても人見知りをしてしまい、なかなか里親が決まらなかった。

公園で遊んでくれた男の子の家についてきた子猫

2019年12月の晴れた日、静岡県の公園で、男の子が遊んでいたら、1匹の子猫が鳴いていた。撫でたり遊んだりしていたが、帰る時間になったので、子猫にバイバイと手を振ったら後を付いてきた。「家までついてきて玄関の前に座っている、どうしたらいいでしょうか」と、ボランティアに連絡があった。その人は、以前、ボランティアから猫を譲り受けた里親だった。

ボランティアがキャリーケース持って家に行くと、本当に子猫が玄関の前に座っていた。まるで忠犬ハチ公のようだった。キャリーケースを持って近づくと逃げようとして走り出したので、身体を低くして、「おいで」と手を出すと素直にそばに来て、触ったらスリスリしてきた。試しに抱っこしたら抱っこできたので、そのままキャリーケースに入れたという。

素手で抱っこできたが、性格はかなりシャイだった。代表は、抱っこしてキャリーケースのふたを閉めるまで、逃げられたら終わり、絶対離さないと思いながら動いたという。施設での仮の名前はふわりちゃんになった。

猫を飼うのは無理、保護猫施設でボランティアをしよう

静岡県に住むYさんは、自宅で猫を飼うのは無理だろうとあきらめていた。ひとつの命を預かる勇気がなかなか持てず、猫を室内飼いする不安もあった。そのため、1年前(2019.10月)から思い切って保護猫施設のボランティアを始めた。12月に団体にやってきたふわりちゃんの世話をしたのだが、当初は毛布の下にこもっていてビクビクしていた。しかし、ふわりちゃんは、まだ子猫。ごはんをあげるとすぐに甘えてきた。毛がもふもふしていて、鼻の点々模様が特徴的だった。人見知りが強く、なかなか里親が決まらなかった。

2020年5月、夫が「猫を迎えよう!」と言ったので、夫婦に懐いていたふわりちゃんを迎えることにしたという。

ボランティアがふわりちゃんを自宅まで連れてきてくれた。最初はケージに入れて様子をみたが、Yさんの声に安心したのか、数時間で緊張はほぐれたようだった。夕ごはんはしっかり食べてくれた。

茶色い被毛でいなり寿司みたいだったことに加え、ふわりという元の名前に発音が似ているので、「いなりちゃん」という名前にした。

夫婦の絆も深まった

いなりちゃんは人見知りをする猫だったが、施設にいた頃からYさんに懐いていて、名前を呼ぶと隣の部屋にいても必ずそばに来てくれた。なでられるのが大好きで、今でもいつも「なでてほしい」と要求してくるそうだ。

「譲渡会などで里親希望者が会いに来てくれたのですが、かたくなに人見知りを発揮してアピールできずにいました。そのことが私たちにとってはラッキーでした。うちの子になってくれて嬉しく思っています」

Yさんは、夫婦でいなりちゃんを可愛がっている。お互いいなりちゃんの写真を送りあったり、今日の様子の報告をしたりしているという。

「確実に会話が増えて、協力し合っている感じです」

保護団体のボランティアをしているYさんは、「ペットを飼うなら保護猫や保護犬をぜひ迎えてほしい」と思っている。また、ボランティアをしていると大変なことや悲しいこともあるが、人出不足に悩む団体も多い。とにかく癒されて、元気を貰えるので、近くの施設に協力してもらえたらと願っている。

(まいどなニュース特約・渡辺 陽)