東芝子会社の東芝ITサービス(川崎市)が架空取引をしていた問題で、主導的な役割を果たしていたとされる東証1部上場のITサービス会社、ネットワンシステムズは13日、一連の経緯を調査した中間報告を発表した。複数の会社間で架空の取引を繰り返す「循環取引」が2015年2月ごろから19年11月までに計40件行われ、約276億円の売上高を過大に計上したことを明らかにした。

 調査は社外の弁護士らによる特別調査委員会が実施。中間報告によると、問題の取引は社員個人が単独で行ったものと認定し、組織的な関与を否定。調査をさらに継続したうえで、同社は刑事告訴も検討するという。同社以外には東芝IT、日鉄ソリューションズ、富士電機ITソリューション、みずほ東芝リースの4社が関与したことを認めている。

 中間報告によると、一連の取引を実施したのは、ネットワンで中央省庁を担当する営業部門のマネジャー。偽の注文書を作って社内決裁を通したうえで、各社に持ちかけていた。取引はソフトウエアのライセンスやITサービスの提供に関するもので、同社が発注したり、受注したりするなど複数のパターンがあった。関与した他社によると、このマネジャーは架空の取引と並行して実態のある取引もまぜていたという。

 特別委の調査に対し、このマネジャーは所属部門が大規模な赤字を発生させたことで「挽回のために架空の取引を始めた」などと話しており、金銭的な利益を私的に得たことはないと説明しているという。今年2月に懲戒解雇処分となっているが、同社はマネジャーの説明内容の信用性に疑問があるとし、さらに調査を継続する。

 ネットワン以外の関係4社の担当者が不正を認識していたかどうかは「判然としない」とし、共謀した人物の有無については結論は持ち越した。3月12日までに最終報告書をまとめる。

 架空取引は昨年11月に国税当局からの指摘で発覚した。この取引に関わっていた日鉄ソリューションズは15年3月期から19年9月中間決算までに計29件の架空取引があり、計429億円の売上高を過大計上していたと公表。さかのぼって連結決算を修正した。【道永竜命】

 ◇循環取引 

 複数の企業間で、商品を動かさないなど取引の実態が伴わないのに、帳簿や伝票上の売買を繰り返し、架空の売り上げを計上する不正な取引手法。主に売上高を水増しして業績を良く見せるために行われる。過去には冷凍食品大手の加ト吉(現テーブルマーク)が循環取引で売上高約1000億円を架空計上し、問題発覚後の経営悪化を受けて日本たばこ産業に救済された事案もあった。

 IT業界では、ニイウスコーやメディア・リンクス、アイ・エックス・アイ(IXI)などの架空取引で刑事事件に発展したケースもある。IT企業が提供するサービスなどは目に見えない無形のモノが多く、架空の取引が行われやすいとの指摘もある。