九州の百貨店などで夏のセールが本格化した。今年は新型コロナウイルス感染拡大を受け、客の密集を防ぐためにブランドごとに開始時期をずらした上、積極的なPRを控える店がほとんどだ。一方、衣料品では春先から販売に苦戦したブランドも多く、値引き幅が大きいケースも。百貨店関係者は「例年よりお得に買い物ができるかも」と明かす。

 福岡市の岩田屋本店や福岡三越では例年、6月下旬に一斉に始めていた夏のセールを、今年は館内の各店舗が順次開始する形式に変えた。臨時休業から営業再開した5月下旬から割引販売をする店もあり、6月末時点で8割がセールを実施している。

 時期をずらしたのは客の混雑を防ぐためで、テレビCMなどでの大々的な集客も控えた。ホームページでセールを知らせるほか、各店舗が会員客らにSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)で告知する程度にとどめており、両店を運営する岩田屋三越の担当者も「例年とにぎわいは違うが、お客様や従業員の安全を最優先とした」と話す。

 福岡市の大丸福岡天神店や博多阪急、熊本市の鶴屋百貨店などでも館内で順次セールが始まり、6月下旬から1カ月程度がピークとなる。井筒屋小倉店(北九州市)は6月26日から開始したが、一部の店舗は前倒しで割引をした。

 福岡市の百貨店関係者によると、今年は新型コロナの影響で2月ごろから客足が落ち込んだ上に4〜5月の臨時休業もあり、6月になっても客数は前年の7〜8割までしか回復していない。春夏衣料の在庫を抱えた衣料品メーカーもあり、「普段は販売状況をみながら徐々に価格を下げるものだが、今年はセール序盤からドカンと値下げするブランドが目立つ」と明かす。

 福岡市の婦人服店では6月下旬、店頭に3割引きの夏物衣料が並ぶが、奥の棚では春物の長袖を半額で販売していた。店員は「今年は春物も多く残っている。普段は夏のセールでは並ばないような商品がお得に買える」。逆に新型コロナの影響で入荷が不安定になり、夏物が十分にそろわずに他のシーズンの衣料が並ぶケースもあるという。百貨店関係者も「店頭の事情はブランドによってさまざまだが、掘り出し物を見つけるチャンスではある」と話している。【久野洋】