<北海道地震>必死の介護、命つなぐ 障害者 停電で奔走

<北海道地震>必死の介護、命つなぐ 障害者 停電で奔走

 6日未明に北海道で発生した地震に伴う大規模停電は、障害者とその家族の生活を直撃した。札幌市豊平区の山田健哉さん(18)は「遷延(せんえん)性意識障害」のため、寝たきりで意思疎通が難しく、24時間人工呼吸器が手放せない。母の美哉さん(42)は健哉さんの「生命維持」に奔走した経験から「災害時に医療的ケアが必要な人間が安全を確保できる態勢を整えてほしい」と訴える。

 6日未明、大きな揺れとほぼ同時に停電した。美哉さんは呼吸器を予備バッテリーにつなぎ、屋外の車のエンジンもかけ、たん吸引など電気が必要な機器を動かし続けた。しかし、真っ暗な部屋ではたん吸引や栄養剤を補給する作業が難しい。容体悪化を知らせ、心拍数も測定する機器は作動せず、懐中電灯をつけても体調の目安となる唇や顔の色は判別できない。「夜が明けろとひたすら願った」

 神経をすり減らした一夜が明けた。余震で多くの機器を持ち出せるか不安になり、車での発電にも限界を感じたため、病院を探したが、病室の空きがないと断られた。以前、台風で断られた時と同様に「緊急ではない避難目的」と判断されたようだった。別の病院に受け入れられたのは午後3時ごろ。「準備や訓練をしていたが実際は想像と違う。命に直結する停電は本当に怖い」と語った。

 札幌市東区の時崎由美さん(48)は一時、「孤立状態に陥った」。長男の崇輔さん(12)は脳性まひのため寝たきりで、体調不良時にたんや唾液を吸引する機械を使う。これまでの経験から「病院は緊急性がないと判断し、引き受けてくれる可能性はほとんどないと分かっていた」。体調不良時に備え、車で3時間かけてバッテリーを充電した。

 公務員の夫は職場に行き不在で、崇輔さんを残してガソリン補充や食料調達に外出することもできなかった。電話もつながらず、「ガソリンが減るにつれ心の余裕がなくなった。医療も介護も在宅を促す政策なのに、緊急時対応が十分ではない」と指摘する。

 10日、医療的ケア児の母親たちと久しぶりに会うと、誰もが疲れ切った様子で、「自家発電機が必要かもしれない」との声も上がったという。停電は復旧しても、マンションのエレベーターは地震で故障したまま。崇輔さんが学校に通うには寝たまま使える15キロの車椅子と合わせ、階段で運び下ろす必要がある。苦労する時崎さんを見かけた近所の住民が車椅子を運んでくれた。「本当にありがたかった。災害時に特に困る立場の子どもがいることを知ってもらい、もし見かけた時は助けてほしい」と話した。【日下部元美】


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