福岡市西区の砂浜に設置された滑り台で足を脱臼骨折する重傷を負ったなどとして、けがをした男性(当時39歳)と婚約者の女性が、滑り台を設置した飲食店を経営する会社に計約270万円の損害賠償を求めた訴訟で、福岡地裁(吉田達二裁判官)は16日、「滑り台として通常有すべき安全性を欠いていた」として計約24万円の賠償を命じた。滑り台には「ケガをしても責任を負わない」との注意書きがあり、地裁は男性に過失があったとしつつも設置者の責任を認めた。

 判決によると、事故は2019年1月5日、飲酒後に滑り台(滑降部の長さ約5・7メートル)を使った男性が着地した際、砂浜で左足を滑らせ左股関節脱臼骨折の重傷を負った。

 公園などに設置されている一般的な滑り台は、着地前に減速するよう地面の手前は傾斜が地面とほぼ水平になっている。一方、事故があった滑り台は海上に浮かべて利用することを想定し、減速部がほぼなく勢いよく海に放り出される形状になっているが、事故当日を含め、海水浴シーズン以外は飲食店横の砂浜に設置されていた。

 吉田裁判官は「減速部がほぼなく、高さなどからも滑り方によってはかなりのスピードが出るものと考えられる。着地点も砂浜で足が滑る危険性があった」とし、設置の仕方などに不備があったと認定した。

 また、男性の入院付き添いのため職場を1日遅刻、2日欠勤した婚約者の女性については「男性の受傷内容などに鑑みると、付き添いの必要があった」として約3000円の休業損害を認めた。

 その上で、地裁は滑り台の2カ所に「遊具利用に関してケガなどの責任は当店では一切負いかねますので十分に注意して遊んでください」などとする注意書きが設置されていたことや、飲酒後に滑り台を利用したことから男性にも過失があったとして、2人の請求額から大幅に減額した。

 会社側は「担当者がいないのでコメントできない」と話した。【宗岡敬介】