文部科学省は24日、2021年度から使われる中学校の教科書の検定結果を公表した。21年度から中学校で全面実施される新学習指導要領に対応する初めての教科書となる。すべての教科書に、議論や課題の探求を重視した「主体的で対話的な深い学び」(アクティブラーニング)を実践するための工夫がみられた。新学習指導要領で学習内容が増加したことなどによって、全10教科の平均ページ数は現行本と比べると7.6%増となり、04年度の検定以降で最多となった。

 今回の19年度検定では、10教科で115点の申請があり、106点が合格した(一度、不合格になった後に再申請して合格した1点も含む)。国語と外国語で5点の申請が取り下げられた。

 新学習指導要領は思考力、判断力、表現力の育成を重視し、授業では生徒の議論や発表などを積極的に取り入れるよう求めている。今回の教科書は、各章の冒頭に学習の目的を明示して主体的な取り組みを促したり、各章の終わりに学んだ内容を踏まえたグループディスカッションにつなげたりする構成が目立つ。

 道徳を除いた9教科の平均ページ数の合計はA5判に換算すると1万261ページで、「ゆとり教育」と呼ばれた時代の04年度検定時に比べ約1.5倍増となった。文科省はページ数増の理由について「読み物の教材に加え、発問やグループワークの工夫が盛り込まれた。アクティブラーニングがより充実した結果だ」とみる。「教える量」の増加が教員の負担増につながりかねないとの指摘もあるが、文科省は「分野ごとに軽重を工夫すれば、教えきれない内容でない。教員の負荷に直接つながらない」と強調した。

 今回の検定で、教科書の内容が学習指導要領や検定基準に沿っていない場合などにつけられる検定意見は4775件(前回比121件増)だった。【水戸健一】

 ◇初の「一発アウト」 「つくる会」歴史など2点

 今回の検定では著しく欠陥が多いとして、歴史と技術でそれぞれ1点が不合格となった。いずれも年度内の再申請を認めない「一発アウト」が初めて適用された。

 このうち1点は「新しい歴史教科書をつくる会」のメンバーが執筆する自由社の歴史の教科書。つくる会は「無理筋の検定意見を強引に絞り出した結論ありきの検定だ」として文科省に措置の撤回を求めている。

 小・中学校の教科書は検定意見がついても修正すれば年度内に再申請できる。ただ、2016年4月、「審議の時間を十分に確保する」という理由で、検定意見が100ページあたり120件以上、または基本的な構造に重大な欠陥がある場合、年度内の再申請を認めないというルールが新設された。

 自由社の歴史教科書についた検定意見は314ページで405件あり、新ルールが初適用された。「日本の皇室は、神話の時代から現代まで続く」という表記について「神話と現代がつながっていると生徒が誤解する恐れがある」という指摘などがあった。【水戸健一】