2019年9月9日に上陸した房総半島台風(台風15号)など一連の災害対応を検証した県は24日、報告書をまとめた。専門家らの検証会議の議論を踏まえ、森田健作知事が災害対策本部や知事公舎を公務外の用事で度々離れたことについて「適切とは言えず、災害に最適な対応がとれる態勢をとるべきだった」と批判。知事は「自身の行動を含め県の対応に対する指摘を踏まえ、今後の防災対策の充実、強化に取り組む」とコメントした。【宮本翔平】

 報告書によると、知事は19年9月9日、千葉市中央区内の公舎に終日とどまり、災害対策本部を設置した同10日に芝山町の私邸に立ち寄り周辺を私的に視察したり、本部会議を開いた同11、13日に散髪など私用で東京都内を訪れたりした。報告書は「9日は県庁で迅速に情報収集、指示を出すのが望ましかった」とし、私的な視察についても「必要性、効果、安全を考慮し、公務として実施」すべきだとした。

 県の情報収集についても「体制は十分でなく手段や時期も適切でなかった」と指摘した。被災地の情報やニーズを把握する情報連絡員(リエゾン)を派遣したのが同12日以降で、県警のヘリコプターが台風上陸当日に3回出動し被害状況を撮影した映像を県に提供したものの災害対策本部はその映像を確認していなかった。

 また、物資支援では、市町村に対して県が備蓄する物資の周知が十分でなく、有効活用されていなかったことが問題点として挙げられた。搬送手段が確保できなかったことなどから、市町村の職員が県の備蓄倉庫まで物資を取りに行くこともあった。長期化した大規模停電の対応では「優先度が高い病院などの施設で業務継続できるよう燃料供給や電源車を速やかに配置する手順や枠組みが必要。停電の早期解消のため、東京電力などの関係機関と具体的な連携を推進すべきだ」と指摘した。

 県は指摘された課題や解決策を受け、既に一部で対応を始めている。災害時に派遣するリエゾンでは、県庁と出先機関から市町村に派遣する各6人の職員を事前に選定し、2〜3月にはリエゾンの役割などに関する市町村説明会を実施。ヘリコプターによる情報収集については2月に、県警や千葉市消防局とそれぞれ、要請の手順、映像配信の通知や提供方法などについてマニュアルを整備した。

 県は台風の初動対応の遅れなどが問題となり、19年10月に災害対応を検証するプロジェクトチーム(PT)を発足。災害や気象の7人の専門家らによる検証会議を同11月〜20年2月に計4回開き、対応の問題点や改善策を議論してきた。検証対象となった11項目のうち「災害対応体制」と「森田知事の動き」の2項目は、19年12月に中間報告にまとめていた。今後、中間報告の指摘を踏まえた県地域防災計画の修正案を4月に公表し、パブリックコメントを実施する予定。6月ごろには県防災会議を開いて計画の修正を決定し、20年度内に最終報告で指摘された点も計画に反映させたい考え。報告書は県ホームページで確認できる。