京都大霊長類研究所(愛知県犬山市)の設備工事を巡り、国から交付された研究費が不正に支出された疑いが持たれた問題で、京大は26日、同研究所元所長の松沢哲郎・高等研究院特別教授ら4人による不正な支出が34件・計5億669万円あったと発表した。私的流用はなかったとしている。

 松沢氏はチンパンジーの知性を探る霊長類研究の第一人者として知られ、同研究所の所長を2006〜12年に務めた。他の3人は、同研究所の友永雅己教授(当時は准教授)▽当時は同研究所特定准教授だった平田聡・京大野生動物研究センター教授▽当時は同研究所特定助教だった森村成樹・同センター特定准教授。

 発表によると、内訳は過大な支出が12件(1498万円)▽架空取引が14件(4880万円)▽目的外使用が1件(47万円)▽入札妨害が7件(4億4242万円)。いずれも同研究所と同センターのチンパンジー用ケージの整備に関係していた。

 過大な支出は、仕様書との乖離(かいり)により損害が生じた契約9件と、損失補塡(ほてん)のため不当に金額を上乗せした契約3件。

 架空取引は、納品実態がないのに代金を支払った契約1件、別の契約で発注済みなのに再発注し二重に代金を支払った契約11件、正式な手続きを経ずに納品が完了していた物品に対し翌年度以降に架空の発注手続きをして代金を支払った契約2件。

 目的外使用は、補助金で購入した2点の物品のうち1点を別の用途で使用し、1点は全く使用せず保管していた契約1件。入札妨害は仕様策定に関与した取引先業者が入札に参加した契約7件だった。

 それぞれ関与した件数は松沢氏が14件、友永氏が26件、平田氏は1件、森村氏は3件だった。

 京大が18年12月に公益通報を受けて調査を始め、19年5月には会計検査院の検査も受けて調査委員会を設置していた。【福富智】