旧優生保護法(1948〜96年)下で不妊手術を強制されたとして、東京都の北三郎さん(77)=活動名=が国に3000万円の賠償を求めた訴訟の判決が30日、東京地裁で言い渡される。同種訴訟としては旧法を違憲としながら原告の敗訴とした2019年5月の仙台地裁に続いて2例目の司法判断となる。東京訴訟では「除斥期間」の適否が最大の争点となっており、注目が集まっている。

 北三郎さんが手術を受けたのは、児童自立支援施設に入所していた14歳の時。「悪いところがあるかもしれない」。職員に連れられた先は産婦人科で、説明のないまま麻酔をかけられた。半年後、施設の先輩から、子どもができない体になったと聞かされた。

 生涯独身でいようと心に決めた。だが、縁談があり28歳で結婚。やはり子には恵まれず、罪悪感にさいなまれた。妻に打ち明けたのは2013年。病床で告白を聞いた妻は「ご飯だけはちゃんと食べるのよ」と返し、数日後に亡くなった。

 それから5年、不妊手術を強いられた女性が仙台地裁へ国家賠償訴訟を起こした。そのことを報じた新聞記事で、旧優生保護法の存在を初めて知った。手術は親や施設に強制されたと思い込んでいた。「なぜ、国はそんなむごいことを」。怒りがこみ上げ、4カ月後に自身も提訴した。

 判決には不安もあるが、裁判所に被害の実態を伝えられたとは思っている。「手術を進め、解決も図らなかった国の責任を認めてほしい」と願う。【遠山和宏】