盛岡市動物公園は28日、飼育されているピューマに、農作物被害を防ぐため駆除されたイノシシの肉を与えるイベント「ピューマの丸ごとごちそうタイム」を開いた。野生に近い皮や毛が付いたままの餌を食べるピューマの姿を通して、獣害問題や駆除後の活用についても考えてもらうのが狙いだ。【安藤いく子】

 獣害問題などに取り組む任意団体「ワイルド・ミート・ズー」と共催した。農林水産省の統計では、鹿やイノシシによる2018年度の農業被害額は全国で101億円。県内だけでも2億円に上る。環境省によると18年度には全国で約116万頭が捕殺されたが、日本ジビエ振興協会によると食肉用に活用されているのは1割で、残りは処分されているという。

 動物園では食べやすいよう毛や皮をはいだ塊肉で与えることが多いため、野生と比べて刺激が少なく、食事の時間も短い。今回の取り組みのように、ピューマがより野生に近い状態のイノシシを時間をかけて食べることで、園での単調な食事が変化し、生活の質の向上につながるという。

 28日は、同園の雄のピューマ「タフ」(1歳)に、福岡県で捕殺され殺菌処理したイノシシ肉を与えた。最初は警戒して爪で引っかく動作を見せたが、数分後には自分で皮をはぎ、肉や骨を食べていた。

 甲府市から訪れた会社員の女性(60)は「食べる姿に野生の本能を感じた」と話した。同園の伴和幸さんは「動物園での餌や暮らしについて詳しく知ってもらい、そこから身の回りで起きている獣害問題や駆除された命の活用についても考えてほしい」と話した。安定的にイノシシ肉が確保できれば、今後の定期開催も検討するという。