缶飲料をかたどったロングセラーの人気駄菓子「ミニシリーズ」とコラボした氷菓が、福岡県朝倉市のアイスクリームメーカーから誕生している。発案者は駄菓子好きの小学生。アイス製品の専門家も「斬新さと懐かしさが感じられる商品」と太鼓判を押す。朝倉市で甚大な被害が出た九州北部豪雨から7月5日で3年。子どもならではのアイデア商品が、復興を目指す被災地の夏を元気づける新名物になりそうだ。

 アイデアは2018年8月ごろ、スーパーの駄菓子コーナーで生まれた。新商品の開発に頭を抱えていたアイスメーカー「セリア・ロイル」の営業担当、山下真一郎さん(46)が一緒に買い物していた娘の由良さん(9)に「どんなアイスが食べたい」と尋ねると、即答だった。「『ミニコーラ』をアイスにしたら」

 1978年に発売されたミニコーラは、サワー味やグレープ味とともにミニシリーズとして人気のラムネ菓子。その日のうちに山下さんはミニシリーズを製造・販売する「オリオン」(大阪市)に商品化を打診した。電話に出た高岡五郎常務(65)の父の出身地が朝倉市だった縁もあり、コラボはすぐに実現。ラムネをそのまま入れて存在感を出すなど工夫を凝らし、19年7月に「ミニコーラ氷」(税抜き140円)として発売すると、19万個が売れるヒットになった。

 アイス市場の活性化に取り組む一般社団法人・アイスマニア協会代表理事のアイスマン福留さん(47)は「氷のシャリッと感にラムネの濃厚さがアクセントになり、ミニコーラが生かされている」と絶賛する。

 17年7月の豪雨でセリア・ロイルでは自宅が浸水被害に遭った従業員がいた。工場は大きな被災を免れて稼働できたため、同社は豪雨の約3週間後、市内8カ所の避難所で暮らす市民に計約800個の氷菓を配った。同社管理部長の永尾信一郎さん(57)は「そんなことしかできないと思っていたが『ありがとう』と言われるとやっぱりうれしかった」と振り返る。

 同社は20年6月1日、第2弾としてサワー味の「ミニサワー氷」を発売した。山下さんは「これからもお客様が喜ぶアイスを作って、被災地から幸せを届けたい」と意気込んでいる。【大坪菜々美】