宮城県丸森町に2019年に移住した女性が蜂の巣から採れるロウを使った「ミツロウラップ」を製作し、地域の特産品にしようと奮闘している。包んで、洗って、繰り返し使える自然由来のラップ。日本での普及はこれからだが、脱プラスチックのエコな商品として注目を集めている。【神内亜実】

 製作しているのは、19年10月から丸森町の地域おこし協力隊員として働く山下久美さん(38)。丸森町の養蜂園の倉庫に眠ったままのミツロウの活用方法を考え、ラップの材料にすることを思いついた。

 ラップは、華やかな柄の綿100%の布に、ミツロウや天然樹脂、植物油を染みこませてつくる。抗菌性や保湿性を持ち、自然素材なので口に入っても安全。体温でも表面が柔らかくなるため折り紙のように形を変えられる。包むだけでなく、皿として使えるのも魅力だ。「冷蔵庫でも目立つので忘れにくい」(山下さん)というメリットもある。

 県内のレストランでスイーツビュッフェの器に使われ、19年度に地域の将来を支える名品を表彰する「ふるさと名品オブ・ザ・イヤー」(内閣府など後援)で最高賞の地方創生大賞にも選ばれた。

 神奈川県出身で、仙台市で17年間、リラクセーションのセラピストとして働いた山下さん。「どうしたらお客さんに健康になってもらえるのか」を模索する中、いくら施術をしても、一歩店を出ればネオンが輝き、排ガスにまみれている現実に疑問を持つように。「本来の健康とは、自然と共生しながら正しい生活習慣を身につけることで生まれるのではないか」。環境に優しい商品づくりのため起業し、丸森に移住した。

 地元の素材を使うことで、ミツロウラップを地域の魅力発信にもつなげようとしている。例えば、特産のタケノコの生育には定期的な竹の伐採が必要だが、竹の使い道がなかった。そこで、竹を染料にしたラップを考案。「竹は季節によって黄色や緑などに色味が変わる。四季折々の色合いを楽しむラップになる」と、丸森のいろいろな自然素材を活用しようとアイデアを膨らませる。

 ミツロウラップを丸森に訪れるきっかけにしたい――。そんな思いも込め、山下さんは最近できたばかりの商品のパンフレットにこう記した。「機会がありましたら、サンドイッチを片手に、丸森の自然にお出かけください」

 ミツロウラップは、S・M・Lの三つのサイズで869〜2585円。道の駅など県内10店舗とオンラインショップ(https://mamemugi.thebase.in/)などで販売している。