菅義偉官房長官は27日の記者会見で、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で品薄が続くマスクについて、4月の供給量が3月より約1億枚多い約7億枚に上るとの見通しを示した。ただ、政府は医療機関や高齢者施設、介護施設などに優先的に配布する方針で、小売店の店頭での品薄解消には「一定程度の時間を要する」と述べた。

 菅氏は会見で「企業への増産要請や投資支援などで供給量の積み増しを図ってきた。引き続き、政府一丸となってマスク供給拡大に向けて、最大限の努力をしていきたい」と語った。

 新型コロナの影響で、マスクの品薄は1月から続いている。政府は1月に国内メーカーに増産を要請するとともに、マスク製造設備の新設に対する補助金制度を導入。2月下旬以降に14件の事業への補助が決まり、約6800万枚を増産する態勢となった。中国からのマスク輸入が再開されるなどした結果、3月の供給量は約6億枚(うち約3割が輸入)を確保した。

 例年なら花粉症やインフルエンザが流行するピーク時の需要を十分まかなうことができる供給量だ。しかし、政府がマスクの着用を推奨していることもあって需要は高止まりしており、店頭での品薄解消にはつながっていない。優先度の高い医療機関でも、マスク不足が深刻化している。

 政府は2月以降、都道府県の要請に基づき感染症指定医療機関等に対して約230万枚の医療用マスクを提供。さらに国保有分の放出や増産などによって計1750万枚を供給していく方針だ。

 同時に、一般向けには布マスクや手作りマスクの普及を呼びかけている。政府は3月以降、介護施設などに対して、国が確保する布製マスク2000万枚の配布を開始。4月からの学校再開に備え、せきなどによる飛沫(ひまつ)を防ぐ効果を期待した手作りマスクの使用を都道府県などを通じて呼びかけた。

 政権幹部は「布マスクが出てきたことで、紙マスクの在庫が積み増せる。輸入拡大が順調なら、4月中に市場にも出回るのではないか」と期待する。だが、世界的な感染拡大の影響で、各国ともマスク確保を急いでおり、思惑通り運ぶかは不透明だ。

 一方、マスクは感染症や風邪の疑いがある人が使うことで飛沫感染を防ぐ効果が期待されるが、予防効果については明確ではなく、「あまり期待できない」との指摘もある。手作りマスクについて、文部科学省幹部は25日の参院予算委員会で「感染を防ぐというより、飛沫を飛ばさないせきエチケットの観点からマスクを着用していく準備をしていただきたい」と説明した。【秋山信一、堀和彦】