<エルサレム首都認定>パレスチナ 抗議拡大、100人負傷

<エルサレム首都認定>パレスチナ 抗議拡大、100人負傷

 エルサレムをイスラエルの首都と認めるトランプ米大統領の正式表明から一夜明けた7日、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の聖地であるエルサレムでは、多くの思いが交錯した。ヨルダン川西岸とガザ地区のパレスチナ自治区各地では抗議行動が拡大。イスラエル軍の放水や催涙ガスでパレスチナ人100人以上が負傷したとの情報もある。【エルサレム高橋宗男】

 ◇聖地、共存に暗雲

 エルサレム旧市街にあるユダヤ教の聖地「嘆きの壁」。朝から多くのユダヤ教徒が祈りをささげていた。「エルサレムは3000年前からユダヤ人の首都。米国の大統領がそれを認めたのは喜ばしいことだ」。毎朝午前4時に礼拝に来るという宗教系男子校の校長、ジョー・ワインブルグさん(53)がユダヤ人の心境を説明する。

 だがユダヤ人が歴史を強調するのと同じように、パレスチナ人にも歴史がある。

 「私の一家は600年前からここで暮らしてきた」。旧市街で雑貨店を営むサイード・アブワリドさん(72)が言う。2歳だった1948年に第1次中東戦争が勃発した。父は1日避難しただけで「ここで死にたい」と旧市街に戻ってきたと聞かされた。だから67年の第3次中東戦争で旧市街のある東エルサレムがイスラエルに占領された時も、この地から離れなかった。「私にとって大事なことは、父のようにここで生き、死んでいくこと」と言う。

 トランプ氏はエルサレムの境界はイスラエルとパレスチナの将来の交渉で決めるべきであり、米国は和平の実現に引き続き関与していくと強調している。和平は見通せるのか。

 アブワリドさんは「夜に日が昇るようになれば可能かもね」と皮肉った。東エルサレム郊外ラスアルアムードの食料雑貨店員、ジャラル・バドランさん(32)も「米国は完全にイスラエルの側に立った。そんな立場で和平を仲介できるわけがない」と語気を強めた。

 旧市街で土産物店を経営するファワズ・ムハンマドさん(58)は、エルサレムは世界中のイスラム教徒にとっての聖地だと指摘し、「エルサレムがなければ生きていけない」と強調する。「トランプ氏は、世界中のイスラム教徒に火を付けてしまったかもしれない。インティファーダ(民衆蜂起)が起きるんじゃないか。パレスチナやアラブ諸国だけじゃない、トルコやマレーシアでさえ起きかねない」

 パレスチナ自治区ガザ地区を実効支配するイスラム原理主義組織ハマスの最高指導者ハニヤ氏は7日、ガザ地区での演説で「ユダヤ主義者に対するインティファーダを開始しなければならない」と呼びかけ、米国の方針転換に対する大規模デモが実施された。ヨルダン川西岸ラマラでも大規模デモがあり、イスラエル軍は暴力的な事態に発展することを警戒し、西岸各地への舞台の増派を決めた。

 8日にはイスラム教の金曜日の集団礼拝が控えており、抗議行動はパレスチナを越えてイスラム世界に広がる可能性がある。

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