新型コロナウイルスへの対策として、香港政府トップの林鄭月娥(りんてい・げつが)行政長官が唐突に発表した「禁酒令」が世論の強い反発を浴びている。飲食店で酒類の提供を禁じる内容で、林鄭氏は「酒に酔うと親密な行為が増えて感染の危険性が高まる」と導入の理由を説明。だが、「他にすべきことがある」との批判が政府内部からも出ている。

 林鄭氏は23日の記者会見で、疾病予防条例を適用し、酒類販売免許を持つ全8600店舗の飲食店やバーなどで酒の提供を禁じると発表した。実施時期は検討中とした。飲食街で感染が広がったことを受けた措置という。

 だが香港紙「明報」によると、行政長官の諮問機関「行政会議」のメンバーから「まずは人が集まる機会を減らす施策を導入すべきだ」などの批判が続出。メンバーの一人の葉劉淑儀氏は「飲食業界の被害は甚大だ」と述べ、再考を促した。

 香港での感染確認は25日現在、410人(死者4人)。感染者数が世界一の中国本土からの入境を完全に禁止しておらず、市民からは「本土からの入境を全面禁止するのが先だ」といった反発も出ているという。

 一方、2019年6月に大規模化した政府への抗議デモは、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて小規模化したが、散発的には続いている。【台北・福岡静哉】