新型コロナウイルスの感染拡大を食い止めている台湾で、政府対策本部長を務める陳時中氏(66)が市民の人気を得ている。不眠不休で対応に当たる様から「鉄人大臣」と呼ばれ、大手テレビ局「TVBS」が26日に発表した世論調査で支持率は91%に達した。毎日の記者会見で質問が尽きるまで誠実に答え続ける姿勢と、思いやりに満ちたコメントが市民を安心させているようだ。

 陳氏は歯科医出身。2016年の蔡英文政権発足で衛生福利部長(衛生相)に就任した。1月下旬からほぼ毎日、1〜2時間の記者会見に出席。実直な話しぶりと温かいコメントから「定心丸」(安心させてくれる人の意味)と呼ばれ、台湾の雑誌が「鉄人大臣10大語録」と特集するほど。2月中旬、自宅隔離者に位置情報が分かるリストバンドを装着させるべきだと台北市長が主張したのに対し、こう答えた。「隔離対象者は肉の塊ではない。人間です。思いやりに満ちた制度を作り、社会で支えることが解決につながる」

 中国・武漢から多くの台湾人が退避してきた3月10日から11日にかけては対策本部と空港を行き来し、徹夜で対応。25時間連続勤務の状態で記者会見に臨み、退避の状況などについて質問に丁寧に応じた。ネット上では「感動した」「少しは休んで」と支持やねぎらいの書き込みが相次いだ。

 TVBSの調査で、台湾の防疫対策に「満足」と答えた人は84%。蔡総統の支持率も60%となり、TVBSの調査で政権発足以来、最高を更新した。【台北・福岡静哉】